『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀4』 第5話「魔宮貴族」
最後の神誨魔械を探し、鬼歿之地を苦心しながら征く殤不患一行。一方、魔界に飛ばされた睦天命たちは、浪巫謠を探すため一時休戦する。その頃、阿爾貝盧法を狙い、それぞれのやり方で侵入を試みる霸王玉・花無蹤・浪巫謠。そして刑亥と再会した凜雪鴉は、思わぬことを彼女に告げる……
第5話まで来ましたが、相変わらず各勢力が独自の動きを見せることもあり、毎回体感10分くらいの展開が続く本作。それでも西幽組が魔界に来たことで、だいぶ登場人物たちが集結してきた感があります。その西幽組は、可哀想なお付きの人は狂乱した末にあっさり退場、残った睦天命・天工詭匠・嘲風は、浪巫謠という共通の目的があるため、一時休戦することになります。ここで睦天命が殤不患並みの懐の深さを見せる一方で、「あれは身を守る術すら知らぬ小鳥だった」とか一見しおらしいことを言い出す(けれどもその小鳥に殺し合いをさせていた)嘲風のさりげないヤバさが光ります(この人こそ照君臨の血を引いているのでは……)。
一方、ひたすら鬼歿之地を歩いている殤不患・丹翡・捲殘雲組は、今回も少しアクションがあったきりで出番がわずかなのが、そろそろ寂しいところです。
そんなわけで今回メインの舞台は魔界なのですが、安索亞特の依頼を奇貨として、ついに神蝗盟組が阿爾貝盧法の城に殴り込み。花無蹤は盗賊らしく密かに忍び込む一方で、霸王玉はまさに異飄渺でなくとも「いや少しは考えましょうよ」と言いたくなる勢いで正面から突っ込んだところで、刑亥と浪巫謠がやって来て――と、いつの間にかこの二人(というか行動を共にしていたはずの刑亥)が阿爾貝盧法に置いて行かれているのが妙におかしい。
その阿爾貝盧法はどこに、と思いきや、城の中ではなく魔王様の御前。魔宮貴族たちの会議の招集を受けて――とうことでついに前回退場した迦麗以外の、未登場だった魔宮第二位から第六位までの貴族が登場します(第一位の魔王様はシルエットのみ登場)。こうしてみると安索亞特だけが人外めいたシルエットで、皆さん案外普通の印象を受けます。
ここでの新情報は、前回浪巫謠が迦麗から奪った魔宮印章は、四つ集めると新たな魔神を呼び出せるという事実。全部で八つあるので、魔神が二体呼び出されるのは確定のようなもの――などと言ったら、「この魔界がついに手に入れた太平の世」などと魔王とは思えないことを言っている魔王様に申し訳ないでしょうか。
さて、本来であればこの情報は結構大きなインパクトがあるはずですが、しかしそれを大きく上回るサプライズが今回待ち受けています。
遅れてやって来た浪巫謠と刑亥の前に現れ、二人の前で異飄渺の擬態を解いて姿を見せたインチキキセル野郎。散々警戒されながらも、浪巫謠を先に城に忍び込ませた彼は、刑亥に問いかけます。魔界に来てから妙に体が軽い、普通の人間にこういうことはあるのか、と。それを聞いた刑亥は即座に否定、そんなのは魔族だけだということになるのですが――ということは凜雪鴉に魔族の血が!?
……などとは全く素直に驚けず、また適当にフカしてるんじゃあいの? と思われるのがインチキキセル野郎たる所以ですが――その言葉を聞いて、こんなヒドい奴が人間なはずはないから、それなら理解出来る! とうっかり思ってしまうのが刑亥の刑亥たる所以。もう少し人を疑う心を――と魔族に言うのも何ですが、これまで何度痛い目に遭わされたのか忘れたのでしょうか。
というより、刑亥が信じ込んだ時点でもう嘘確定のような気がしますが、今のところ人間とは異なる思考回路を持っていそうなのが阿爾貝盧法くらいで、あとは意外と人間っぽいのも影響しているように思います。個人的には、そんなことになっても全くケロッとしている凜雪鴉が魔族だと、散々悩んでいた浪巫謠の立場がなくなりますし、あっさり敗れ去った蔑天骸に「仕方ない」感が生まれてしまうので、人間であって欲しいところですが――やっぱり、浪巫謠の話を聞いて適当に思いついたのではないかしら。
などと、刑亥ならずとも色々迷わされている間に、浪巫謠の身に花無蹤の鎖が迫る場面で次回に続きます。
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