『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀4』 第9話「覚醒」
繭状態のところに襲いかかってきた休德里安を、半ば無意識のうちに斃した浪巫謠。一方、深手を負った霸王玉と花無蹤は、神蝗盟より互いとの暮らしを選び、任務を放棄して姿を消し、凜雪鴉を苛立たせる。そして睦天命たちを連れて地上に戻った殤不患は、捲殘雲に奇妙な頼みをするのだが……
サブタイトルのとおり、冒頭に浪巫謠のさらなる魔族化が描かれる今回。前回、どう考えても死亡フラグを打ち立てていた休德里安は、やはりあっさりと散るのですが、それが浪巫謠に敵と認識されてではなく、彼が夢うつつの中で禍世螟蝗と戦っているつもりで暴れたいたら、その攻撃をくらってある意味とばっちり的に殺されたというのが哀れです。
ちなみにこの夢うつつの中では、禍世螟蝗の巻き添えで殤不患と睦天命も死んでいるようですが――それは夢の中で阿爾貝盧法が告げるように、彼が魔族だから周囲の人々を不幸にしてしまうのでしょうか。魔族にだって愛情はあるんだーっと、一番言って欲しがってるのは阿爾貝盧法のような気もしますが……
さて、愛情といえば歪んだ愛情では右に出る者のない嘲風は、凜雪鴉によってやはり西幽に戻されていましたが――浪巫謠を取り戻すために西幽の全軍で魔界を攻めると言い出したものの、さすがに周囲からは可哀想な人を見る目で扱われる始末。ある意味無力化したともいえますが、これが凜雪鴉の企みなのでしょうか。
そして愛情といえば、意外なところで花開いた愛情が一つ――前回、互いの力を合わせた芙爾雷伊との決死の戦いの中で、互いの真価を認めあい、何だかイイ感じになっていた霸王玉と花無蹤。二人は、なんとせっかく手に入れた魔宮印章と禍世螟蝗から託された神誨魔械を異飄渺の凜雪鴉に返却してしまいます。
二人が、忠誠心よりも使命よりも大切な人を見つけたので寿退職して東離で静かに暮らします! と言い出したのには、さすがの凜雪鴉も「話を聞け!」と異飄渺の演技を忘れて叫びますが、もはや固い絆で結ばれた二人には届きません。空間転移術(便利)で二人が魔界から消えた後には、ワナワナ震える凜雪鴉が残されるのみ――と、凜雪鴉がこうなるのは久々ですが、彼が大悪党をハメること以上に、彼の見込みが狂って冷静さをかなぐり捨てて荒れる様は、大変気持ちが良いものです。心の底からザマあと言いたいと思います。
(しかし絶対に凜雪鴉の餌食になると思っていた花無蹤が見事に笑傲江湖してしまうとは、全く予想が外れて感服しました)
一方、魔界でかつての仲間たちと再会した殤不患は、そのまま魔界の奥に殴り込み! はせず、前回とは逆パターンで(嵩張りそうな天工ロボを引き上げつつ)鬼歿之地に戻ります。当分ウォウウォウはお預けのようで残念ですが……
そこで第二期にあっさり騙された護印師の偉い人に東離の宮廷を動かすように頼み(たぶん無理)自分たちは本来の任務である、最後の神誨魔械を探すことにした殤不患ですが――捲殘雲が見つけてきた謎の洞窟が、彼に奇妙な行動を取らせます。
捲殘雲に防瘴気マスクを被ってここで待っていて、やって来た若僧の相手をしてやってほしいという殤不患。捲殘雲相手に三拝して殤不患が去った後、はたしていずこからか現れた幼さを残した剣士が捲殘雲に戦いを挑みます。しかし捲殘雲相手に軽くあしらわれた彼は、弟子入りを志願。共感性羞恥に震える捲殘雲も、殤不患の頼みとあらば仕方なく、共に稽古することになるのですが――どう見ても正体がバレバレのこの若僧の正体は如何に、というよりどうやってここに来たのか。気になると言えば、次回のナレーションではまるで捲殘雲が遺志を託しそうな勢いで、むしろこちらが心配です。
にしても主人公(の片割れ)が全く知らぬ間に、魔宮貴族と神蝗盟という二大敵組織が幹部ほぼ全滅しているとは、意表を突いた展開です。
何となく魔界編は第四期でカタが付きそうな気がしますが、それでは完結編では何が描かれるのか。残り四話の行方が気になります。
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