2020.03.28

『無限の住人-IMMORTAL-』 二十四幕「無限の住人」

 突如襲った銃弾の嵐に倒れる槇絵と燎。それぞれ残された天津と吐鉤群は最後の死闘を繰り広げる。そして残った天津と万次が激突し、最後に残ったのは万次だった。右腕を失いながら生き延び、海の向こうに旅立とうとする天津。そこに現れた凜は……

 最終回らしく、オープニング映像抜きでいきなり本編からスタートする今回。前回ラストに、生き残った者たちを襲った銃弾を放った「懸巣」のメンバーたちと尾羽打ち枯れた態の英の会話より後は、10分近く台詞なしで物語は展開していくことになります。
 そこで繰り広げられるのは、天津と吐――愛する槇絵を失った(といっても槇絵はもの凄いパワーで「懸巣」と幕府の侍たちを皆殺しにしているのですが)天津と、己の血を残す最後の便だった燎を失った吐の激突。もはや勝っても何も得られるものもなく、いや失うものすらない二人の激突は、紙一重の差で天津が勝利し、ついに吐は盛大に血を噴いて倒れるのでした。

 しかしまだそれでも戦いは終わりません。天津の前に現れたのは、前回から引き続き、荒篠の左腕を右腕に装着し、吐の羽織を素肌にまとったという、最終決戦モードにしては異形すぎる万次。どちらも満身創痍ながら、その状態ではやはり万次の方が有利であったか――万次が天津の右腕を奪い、ここに全ての戦いは終わりを告げることになります。
 と、ここまでが無音。唐突な演出という気がしないでもありませんが、これはこれで引き込まれるものがあったのは、確かであります。

 それはさておき、何とか命を拾いながら、ただ一人海の向こうに渡って子孫を増やし、再び脅威となって帰ってくると何処まで本気なのか語る天津。万次はそれを見逃すのですが――そこに駆け寄ったのは凜の手に握られた刃は天津の身を深々と抉り、ついに天津は息絶えることになります。
 これまで様々な戦いを経ながらも、万次や他の者に助けられ、自分自身の手を他人の血で汚すことはなかった凜(自分自身の血ではけっこう汚しましたが)。その彼女が最後の最後に、ついに人を殺めたことになりますが――しかしそれは単なる仇討ちのためでなかったことを、凜は後に語ります。

 その理由とは恨みの連鎖を子孫にまで残さないため――すなわち、自分たちの代で終わらせるため。
 思えばこの争いの根源は、天津の祖父が凜の曾祖父に対して抱いた逆恨みに近い怨念であり、それが孫の影久に受け継がれて逸刀流の浅野道場襲撃に繋り、そしてそれに対して万次が凜の用心棒となって――と、復讐の連鎖となったことを思えば、凜の想いは理解できるものがあります。


 しかし、それでは一度血に塗れた手同士は、繋ぎ合わされることはないのか――それは生き残った者たちのその後を描いたエピローグの、そのまた先で描かれることになります。

 時は流れに流れ、いきなり明治――汽車が走り、刀を持つことが禁じられた文明開化の時代、万次は八百比丘尼に呼び止められ、布由という少女を託されることになります。曾祖母から代々託されているという、見覚えのある短剣を手にした少女を……
 そしてその少女に差し出された万次の手は、小指を失った右手――そう、天津の右手。変則的な形ではありますが、ここに浅野家の血を引く者と、天津家は、手を取り合ったのであります。

 かつて天津が願ったように、無限の時を生き、そこで出会った人々の生を見つめる者によって……


 というわけで、ついに完結した本作。全30巻の原作を、全24話で完全アニメ化すると聞いた時にはさすがに驚きましたが、途中、加賀編や不死力解明編のかなりをはじめ、諸処で省略――個人的にはそのほとんどは納得がいくものでしたが――はあるものの、しかしまずは原作をそれなりのクオリティで一通りアニメ化してみせたのは大きな成果でしょう。
 もっとも、時々理由がわからないようなアレンジや、食い足りない部分はあります。今回も、万次と別れた後の凜の涙――文字通り、凜とした態度を見せていた彼女が、みっともないくらいに顔を歪め、身も世もないように泣き崩れる場面など、演じる佐倉綾音の気合いの入った演技をもっとしっかりと聴かせて欲しかったものですが……

 それにしても――これは失礼な言い方になりますが――全編を通してそれなりの形になるように物語の進行を整えられながらも、やはりどこか歪みを感じさせるような格好となっているのは、それはそれで『無限の住人』という作品らしいと思わなくもありません。
 何はともあれ、大団円であります。


『無限の住人-IMMORTAL-』(Amazon prime video) Amazon

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 『無限の住人-IMMORTAL-』 五幕「蟲の唄 むしのうた」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 六幕「羽根 はね」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 七幕「凶影 きょうえい」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 八幕「無骸流 むがいりゅう」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 九幕「群 むら」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十幕「獣 けもの」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十一幕「秋霜 しゅうそう」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十二幕「終血 しゅうけつ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十三幕「誰そ彼 たそかれ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十四幕「改起 かいき」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十五幕「臓承 ぞうしょう」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十六幕「肢転 してん」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十七幕「儀結 ぎけつ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十八幕「鬼哭 きこく」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十九幕「鏖 みなごろし」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 二十幕「霏々 ひひ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 二十一幕「陥穽 かんせい」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 二十二幕「十掉尾 じゅっとうび」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 二十三幕「焉舞百景 えんぶひゃっけい」

 無限の住人

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2020.03.22

『無限の住人-IMMORTAL-』 二十三幕「焉舞百景 えんぶひゃっけい」

 ついに始まった逸刀流と六鬼団、そして万次たちの最後の戦い。万次が荒篠獅子也と、槇絵が残りの六鬼団と激突する中、天津と吐鉤群は壮絶な剣戟を繰り広げる。そして死闘の末に六鬼団は全て倒れ、吐も天津によってついに追い詰められたかに見えた、その時……

 いよいよ本作も残すところ今回を入れて二話――つまりラスト一話前ということで、各陣営でトーナメントバトルに生き残った、最強レベルの剣士たちの激突が描かれることになります。すなわち
 万次vs荒篠獅子也
 乙橘槇絵vs弩馬心兵・八宗足江進・御岳
 乙橘槇絵vs偽一
 天津影久vs吐鉤群
という、出し惜しみなしの激突であります。

 その中で一人、対戦カードを見ただけで無茶な人数と戦っているのが槇絵ですが、しかしそれが実は決して無茶ではない、いやむしろこれくらいのハンデがあって丁度よい――というのはファンであればよく知っていることですが、しかしそれでも全然足りなかったのにはさすがに驚かされます。
 場面が変わったと思ったらいきなり六鬼団蛇組の皆さんに押し倒されていた、と思ったらいきなり彼らを皆殺しにして弩馬と足江進に襲いかかり、そしてまた場面が変わったと思ったら相手二人は無惨なグロ死体となって横たわり――と、あまりにスピーディーで(というより中抜きが過ぎていて)一瞬何が起きたのかわけがわからない状態。特に足江進は、荒篠と過去のドラマがあったのにもかかわらず、その辺りをバッサリとカットされてしまったのは無惨に過ぎるとしか……

 その荒篠はといえば、過去描写がカットされたおかげで、時々思い出したようにオランダ語を喋る大きい人、というキャラクターになってしまったのですが、しかしこれがポッと出なのに猛烈に強い。いやその強さは前回逸刀流門下生相手に描かれていましたが、万次までもほとんど子供扱いの実力差であります(万次が門下生並み、とか言わない)。
 考えてみればあの巨体が生み出す膂力で、漫画に出てくる(漫画です)大剣みたいな得物を、しかも二本も振り回し、ほとんど全身を鉄板や鎖の鎧で覆っているという、タンクのくせに攻撃力も異常に高い荒篠。あの時代の日本の戦力であれに勝てというのは、無茶と言うべきでしょう。

 しかし、そういう無茶をしないと勝てない相手になると異常に強いのが万次(と凜)であるのは間違いないところであります。荒篠でなくとも「悪魔」と呼んでドン引きしそうなスタイルで襲いかかる万次――凜の文字通り命懸けの芝居で助けられた上に、装甲が厚い相手には相性抜群の天津の斧が偶然手に入ったおかげではありますが――は、非常に輝いていたと感じます。
(しかし、五体満足だった時の方が少ないと自覚しているとは自虐的にもほどがある万次)

 そんなある意味本作らしい異形のバトルが繰り広げられていた一方で、正当派の剣戟を繰り広げたのは、天津と吐という両勢力のトップ二人。吐は言うに及ばず、面白武器を使うのが逸刀流ではないと(もしかしたらちょっと気にしていたのかもしれない)天津も持てる技術をフルに発揮しての激突は、余人の邪魔の入らない高台を舞台としたこともあって、延々と繰り広げられることになるります。
 しかし片目を失っていたことが紙一重の勝負を分けたのか、天津有利の状態で転落した両者。そこに割って入ったのは、困っている人を見捨てていけないことでは定評のある凶に拾われた杣燎であります。

 理屈にならない理屈で吐を庇おうとする彼女に構わず勝負を続行しようとする二人ですが、しかし既に勝負はついたも同然、さらにそこに槇絵まで現れては――と、逸刀流完全勝利か、いうところでまさかの事態が発生し、物語は最終回に雪崩れ込むことになります。


 というわけで最後の最後まで混沌とした状況が続く本作ですが、しかし今回繰り広げられた三つの戦い、いずれも終盤に女性が乱入する――上で触れられなかった槇絵vs偽一には百琳が乱入――という共通点があるのは、興味深いところであります。
 それが成功したか否か、そして乱入された側がどのような反応を見せたか――それによって、それぞれの結び付きの違いが垣間見えるように思われるのは(牽強付会かもしれませんが)、なかなか面白く感じられた次第です。


『無限の住人-IMMORTAL-』(Amazon prime video) Amazon

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 『無限の住人-IMMORTAL-』 二十二幕「十掉尾 じゅっとうび」

 無限の住人

|

2020.03.15

『無限の住人-IMMORTAL-』 二十二幕「十掉尾 じゅっとうび」

 常陸に向かう途中の阿葉山と逸刀流門下生十人の前に現れる六鬼団と偽一・百琳。阿葉山と偽一の、門下生と六鬼団の壮絶な死闘の末、逸刀流は全て討たれる。一方、常陸の港で天津たちを討つため、非常手段を取る吐鉤群と六鬼団。その前に槇絵が、そして万次が立ちふさがる……

 前回から本格的に始まった逸刀流と六鬼団、そして万次のトーナメントバトルもいよいよ佳境。今回は実に以下の戦いが繰り広げられることになります。

 偽一vs阿葉山宗介
 荒篠獅子也・八宗足江進vs逸刀流門下生
 叢咲正造vs亜門國光
 乙橘槇絵vs弩馬心兵・八宗足江進
 万次vs吐鉤群

 今回は手合わせ状態で一瞬のうちに終わってしまった対決もありますが、常陸に向かう途中で繰り広げられた阿葉山・逸刀流門下生と六鬼団花組の戦いは、まさに死闘というにふさわしい激突でありました。

 特に壮絶であったのは、言うまでもなく偽一と阿葉山という無骸流と逸刀流のナンバー2、実質頂上決戦であります。阿葉山にとって、あの酒宴の騙し討ちで自分たちの仲間を屠った主犯の一人である偽一は不倶戴天の敵。しかし実力的に、彼を阻めるのは自分しかいない――その判断から一騎打ちを買って出た阿葉山ですが、冷静に考えれば彼がまともに戦うのは今回が初めてであります。その彼の技は――と思いきや、これが亡くした片腕に何本もの鎖を仕込んだ異形の得物を用いた遠近自在の戦闘術。
 遠近自在といえば、空飛ぶギロチンを操る偽一の戦闘スタイルでもありますが、偽一は以前万次との戦いでギロチンを壊されて、いまは律儀に(?)万次に譲られた鎖鎌を使っている状態。慣れない武器で戦う偽一では老獪な阿葉山に苦戦必至で――と、特殊な得物で極限の戦いという、これぞむげにんと言いたくなるようなバトル(しかし一箇所、「目にも留まらぬ鎖の動き」で誤魔化していたシーンがあったのはいただけない)には満足であります。

 ただ一点、阿葉山の「最期」が原作とは異なるのが残念なところで――原作で天津三郎という闇に呑まれる末路は、修羅と化していた阿葉山に相応しいものであっただけに、疑問の残るアレンジであります。


 一方、六鬼団花組の三人と逸刀流門下生の戦いは、ポッと出の「門下生」だけに感情移入のしようもなく(一人、狂った方向でキャラを立ててきた奴がいましたが――もちろん感情移入できず)、これまで今ひとつ出番の少なかった六鬼団の技の披露の場となってしまった印象は否めません。
 そんな中、拷問を得意とする酸の使い手という、誰がどう見てもクズの叢咲相手に、壮絶にも程がある相討ちを仕掛けたおすもうさんは立派だったと思いますが……

 いずれにせよ、逸刀流にとっては「未来」だった門下生十人がまさに掉尾となってしまったのは、彼ら自身が「逸刀流」であるために望んだ道とはいえ、何ともやりきれないものを感じさせます。
(しかしこの展開、門下生たちを残して偽一を一人で追いかけた阿葉山にも責任があるという気がしないでもない)


 しかし、少々失礼なことを言ってしまえば、これまでの戦いは本戦の前の前哨戦のようなもの。真の戦いは、ここから始まることになります。天津たちの脱出を阻むため、港の人間たちを皆殺しにするという相変わらず狂った吐の策に対して、ついに登場した槇絵。その最終兵器ぶりは相変わらずですが、実に良いタイミングで(何しろ吐が「天佑」とまで言うほどの)喀血――と思いきや、そこに登場した万次が思わぬ、しかしなるほど、と言いたくなるようなアイテムで彼女を助け、何だか主人公とヒロインのようなシチュエーションで反撃を開始することになります。

 そんな中で自分も戦いに加わろうと無茶をする凜(すっかり保護者の百琳と偽一もおかしい)と、どこに行ったかいまだ姿の見えぬ天津。そして吐と残る六鬼団花組の三人の戦いの行方は――残すところあと二話というところでしょうか?


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 無限の住人

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2020.03.07

『無限の住人-IMMORTAL-』 二十一幕「陥穽 かんせい」

 尸良との死闘で力を使い果たした万次に刃を向ける練造。しかし彼の前に立つ凜の覚悟と、周囲の言葉に、練造は刀を手放す。一方、追っ手を足止めするためただ一人残った果心居士を追う杣燎と伴殷六ら六鬼団だが、数で勝りながらも山中に仕掛けられた罠によって次々と討たれていく……

 前回の尸良との壮絶な決着のエピローグとも言うべき練造の物語と、燎・伴殷六組vs果心居士の対決が描かれる今回。物語的にはある意味脇筋かもしれませんが、しかし「父と子」という点から見ると、なかなか興味深い展開ではあります。

 万次と凜、目黒とたんぽぽ、凶という三勢力が呉越同舟のところに、刀片手に殴り込んできた彼は、万次に対し、以前(死を偽装した)凜が持ってきた右手と、江戸城地下で練造が拾った左手、どちらも自分のものだから両腕を斬らせろと、無茶苦茶にもほどがあることを言い出す練造。
 しかし所詮はド素人の練造に対して、目黒も凶もほとんど放置状態なところで、ただ一人彼の言葉を受け止めてみせたのが凜であります。代わりに自分の腕をくれてやる、それでも万次なら自分のことを目的地まで連れて行ってくれる、という凜の啖呵の前に圧倒された練造は、ただ嗚咽するのみであります。

 前回描かれたように万次と尸良の二人が、人斬りという点においてはある意味似たもの同士であり、そして人の情の有無という点では全く対照的な存在であったことを思えば、凜と練造もまた、同様な関係性にあると言えるでしょう。しかしどちらも(自分たちにとっては)理不尽に親を奪われ、その末に人斬りと行動を共にすることとなったにもかかわらず、その歩んだ道のりはやはり全く対照的と言うほかありません。
 その二人を分かったものが、上で述べた万次と尸良の違いであることは間違いありませんが――しかし今回の描写を見ていれば、それ以上に理不尽な現実への覚悟の違い、受け止め方の違いであったと感じます。

 自分を襲った理不尽との戦いの末に引き起こされた流血の落とし前を(文字通り)自らの手でつけようとした凜と、自分を襲った理不尽な現実から目を背け、その真実を知ろうとしなかった練造。もちろん繰り返しますが、それぞれの辿った道のりには運としか言いようがないものが影響していたとはいえ、その先を切り開く覚悟の有無が、大きな違い――例えばそれは今回見られたような万次に対する凜の信頼であり、尸良に対する練造の依存であるわけですが――を生んでしまったのだと感じさせられます
 そして練蔵のその態度の根元にあったものが、過去の所行を隠してきた父・川上新夜の態度にあったとすれば、それもまた練造を想った行動でもあるだけに、何とも言えない皮肉を感じるのであります。


 さて、父との関係性という点で今回もう一人当てはまるのが燎でありますが――その姿は凜たちとは異なる、言ってみれば非常に拗れたなものとして描かれます。吐鉤群の庶子であった彼女にとって、吐は普通の子から見た父がそうである以上に、絶対的に仰ぎ見るべき存在であり――そしてその父のために自らの命を擲つことが、彼女にとっての喜びであり、自分が子である証なのですから。
 そんな彼女の心理が、(結構素顔は気のいいおっさんぽい)伴殷六には理解できないのはむしろ当然というべきかと想いますが――しかし果心居士との対決の中で、正気を維持するために自分の足を打ち抜いてみせるほどの伴の一種のプロフェッショナリズムでも及ばなかった居士の幻覚を打ち破ってみせたのが、その一種狂気めいた父への想いであったというのもまた事実であります。

 しかしこの戦いの後、戦いに身を投じることが自分の子としての務めと思い定めていた彼女は、戦いから離れ女として吐家の血を継がなければならないという運命を突きつけられることになります。それは、鉤群の子でありながら吐家の人間足り得なかった彼女にとってはあまりに皮肉な運命であり――そして彼女が自分に与えていた「父のために死ぬ子」という特別な立場を奪い去るものだったと言えるでしょう(更に言えば、ある意味彼女をそこに追い込んだのは、「父のために死んだ子」である嫡男なのです)。
 そう考えれば、満身創痍の彼女がそれでも戦場に戻ろうとした無謀の意味が、少しは納得できるというものであります。


 と、こういう切り口からは全く触れることができなかったのですが、今回やたらと前衛的な幻覚をまとって大活躍した果心居士というキャラ、山の民という出自はともかく、山中という特定すぎるフィールドでその力を最大限に発揮するその戦闘法で、どうやって逸刀流に加わったのか。そして加わろうと思ったのか。謎が多すぎる人物であります。


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 『無限の住人-IMMORTAL-』 二十幕「霏々 ひひ」

 無限の住人

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2020.03.01

『無限の住人-IMMORTAL-』 二十幕「霏々 ひひ」

 天津を追って急ぐ途中、尸良の襲撃を受け、凜を攫われた万次。万次の前に現れた尸良は、万次の左腕を移植し、不死の肉体を得ていた。尸良との対決よりも、真冬の沼に漬けられた凜を救うことを選ぶ万次だが、却って二人とも窮地に陥ってしまう。一方、万次を追う尸良は、凶と遭遇するが……

 逸刀流、六鬼団、万次と凜等々のトーナメントバトルの皮切りとなったのは、意外な伏兵――というべきか、尸良と万次の因縁の対決であります。

 まだ万次と逸刀流が手を組んでいた頃にやり過ぎて万次に右腕を落とされ、加賀に向かう天津を追っての旅の途中、万次と凶(主に後者)との激闘の末に左腕を落とされ――それでもしぶとく生き延びて、江戸城地下に幽閉されていたものが、万次が脱出する際に何を思ったか、切り落とされた万次の左腕を奪って去っていった、というのがこれまでの尸良の来歴。
 どうやら吐鉤群の腹心から知恵をつけられたようではありますが、ここで尸良が万次の前に現れたのは、ほとんど暴走――というか、完全に私怨、いや執念。凜を乗せていた駕籠舁きを惨殺し、さらに(画面ではわかりにくかったですが)懸巣の女たちを殺し――それも全てが万次をおびき出すためなのですから恐れ入ります。

 これがこれまでであれば、いかに尸良が野獣のような相手とはいえ、一対一の対決で万次が遅れをとるとは思えないのですが――しかしあろうことか、尸良は万次の左腕を自分に移植。そう、血仙蟲を自分のものとし、不死身となったのであります。
 前回、歩蘭人は万次の不死に意味というか意志を感じると語っていましたが、だとすれば最悪中の最悪というべき尸良の不死には、どのような意味があるというのか? 何はともあれ、本作二度目の不死者同士の戦いが始まることになるのですが……


 というわけで尸良との決着回となった今回。ここまで引っ張っておいて、たった一話で決着、しかも物語の本筋とは関係ないところで暴れ回った末に退場――というのは、ある意味障害物扱いされてしまっていると言えなくもありませんが、しかしかなりの作画リソースを割いて(一週間が空いた甲斐はあったか?)の死闘は迫力十分、万次と尸良だけでなく、凶や目黒(尸良に敗れてあわや落花狼藉――というところでの大騒ぎで、尸良を呆れさせるのはある意味偉業)、さらには馬まで加わっての派手な剣戟は、まさに本作の醍醐味があったと言うべきでしょう。

 しかし、今回印象に残るのは、こうした肉体同士のぶつかり合い以上に、万次と尸良の精神のぶつかり合い――というより尸良の精神の在り方であったと感じます。
 凜を攫って身を切るような水の中に縛り付け、万次を誘き出す尸良。それはもちろん万次と戦い、そして優位に立つためのものではありますが――しかし、そこには万次の精神性の在り方を確かめたいという想いもあるように感じられます。目の前の自分の敵よりも、命を危うくしている一人の女を選ぶことができるのか。自らの(不死の)体を、自分自身の目的のためでなく他者のために擲てるのか。それは尸良とは正反対の精神の在り方であり――言い換えればその一線を乗り越えて「こちら側」に来た時、万次は尸良と等しい存在になったと言えるでしょう。今回の尸良の行動は、それを望む気持ちが多分にあったのではないでしょうか。

 思えば皮肉混じりとはいえ、ここに至るまで基本的に万次「さん」と、他の者とは異なる呼び方をしてきた尸良。そこには百人斬りという「偉業」を成し遂げた万次に対する敬意と、ある種の共感があったのではないか――というのは穿ちすぎでしょうか。
 しかし今回のサブタイトルのとおり、霏々と降りしきる雪の中での死闘の背後には、万次を倒したい、万次を殺したいというだけでなく、万次を自分の側に引き入れたい、万次と同じ存在になりたい(万次の左腕を移植したのは、そのものズバリの行動と言うほかないでしょう)という尸良の想いが幾度も窺えたように思います。

 もちろんその想いは満たされることなく(というか気付かれることもなく)、またもや万次と凶のコンビネーションの末に尸良は敗れ、野獣のような男に相応しい、悲惨と言うも愚かな最期を遂げることになるのですが――しかしそれはそれで、尸良という男の生き様を貫いたといえるでしょう。
 練造に――今回尸良と万次の死闘の傍らで、人を殺すことも救うこともできず、何ら行動を起こさずに傍観することしかできなかった練造に対して、皮肉極まりない助言を残したことも含めて……


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 無限の住人

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2020.02.18

『無限の住人-IMMORTAL-』 十九幕「鏖 みなごろし」

 常陸に向かい江戸を離れた逸刀流一門。天津からそれを聞かされた凜は彼らを追って万次とともに江戸を離れ、さらに六鬼団、偽一と百琳も続く。しかしその隙に天津と凶たちはわずか四人で江戸城大手門に現れ、正面から城内に突入、警備の侍たちを斬って斬って斬りまくる。果たしてその目的とは……

 最終章も2話目に入り、いよいよ本来の物語が動き始めたというべきか――前半に各勢力の道中双六のスタートが、そして後半に天津たちの江戸城突入が描かれ、一気に盛り上がる今回
 冒頭、町で偶然天津と出会った凜が、あの風体でその辺を歩き回ってる六鬼団(鬼面の雑兵はもちろんのこと、中国感溢れる弩馬心兵のビジュアルも相当のもの)から彼を匿う――という、物語的にも作画的にも相当雑な展開から始まるのには不安になりましたが、しかし各勢力がそれぞれの思惑を秘めて動き出す姿には、やはり胸躍るものがあります。

 まず、以前一緒に加賀に行ってから「逸刀流のことが一番わかっているのは私」と言わんばかりのノリの凜は、天津から逸刀流のこの先を見届けてほしいと言われてすっかりその気になり、万次とともに出発するわけですが――今のところ戦う相手もおらず、万次はダラケまくり。
 一方その逸刀流はといえば、阿葉山と果心居士の老人コンビが、それと正反対の逸刀流新規参入組の若いのたちを引率して一足先に常陸へ。見るからにすぐ死にそうなイキった発言の若侍たちに憤りを隠せない阿葉山ですが、しかしそれも逸刀流のため、それを受け継ぐ若い芽のため――という隠しきれないツンデレぶりに、若い衆も感涙であります。

 そして六鬼団の方は、本隊ではなくまずは忍びの目黒とたんぽぽが、潜入先の宗理先生に泣く泣く別れを告げて先行――と、ここでの目黒の思いこみの強さといい、隠密では先輩である宗理に完璧に正体バレていたことといい、最終章では数少ないコミカルな展開が楽しい。(初代万次とは思えぬ)宗理役の関智一の力を抜いた演技も愉快であります。
 さらにあんなの(吐鉤群)でも恩人と考える義理堅い偽一は、ただ一人助っ人として後を追おうとして、百琳には生活費を置いて残していこうとするという相変わらずの思いこみの強さを発揮。当然百琳にはハゲ呼ばわりで怒られ、彼女も同行することになります。

 そんなわけで揃い踏みの各勢力ですが、今回はそれぞれの旅立ちがメインで、目黒とたんぽぽが英の配下の女忍衆「懸巣」に襲われて傷を負ったところを、これまた偶然通りかかった凜と万次が助けるという展開はあるものの、本格的なバトルはなし。むしろここでは、前非を悔いて旅立った歩蘭人が二話ぶりに(早いな!)登場してたんぽぽの治療に当たるのが、最終章らしいオールスター感を感じさせます。
 しかし歩蘭人、万次の不死には意思が感じられる! と説得力があるようなないようなことを言っていますが、人間がカワウソに見えるような奴の言うことだからなあ……


 しかし後半ではうって変わって剣戟の連続――逸刀流は全て江戸から離れたと見せかけて、こともあろうに江戸城に突入した天津・凶・馬絽祐実・怖畔がたった四人で大暴れ。太平の世に腑抜けた侍たちをバッサバッサと斬りまくり、まさしく屍山血河というしかない状態を作り出すことになります。
 冷静に考えると人斬りシーンが少なかった天津も楽しそうにその鈍器みたいな刀で相手をぶっ倒し、凶と馬絽も特異な得物で大暴れ。弓矢には怖畔が射手のところに飛び込んできた目にも留まらぬ早業(ずるい)で叩き斬って――大番組頭と小姓組頭も出オチ状態で一刀両断(にしても大番組頭の雲霧仁左衛門、やっぱりそのままの名前で出てくるのだなあ……)、新番組頭の英を捕らえて、衆目の前で辱めを与えるのですが……

 しかしこの大暴れの理由というのが、幕府のための牙となるつもりが、裏切られたので幕府にとっての毒になります。一度毒に犯されたら次はきっと強くなるよ――という勝手かつはた迷惑な理屈だったのは、それはそれで天津らしいと言うべきでしょうか。もちろん先に手を出してきたのは幕府の方ですが、何はともあれここまでやってのければ、それはそれで痛快と言うべきかもしれません。

 とはいえ、英を人質にして城外まで逃れたものの、幕府がこれをただで済ませるはずはありませんが――いよいよ次回から各勢力の激突が開始されるのでしょう。素直に楽しみであります。


 しかし怖畔のアクション、これで終わりか――ロイハーロイハーは見れなかった。


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 『無限の住人-IMMORTAL-』 四幕「斜凜 しゃりん」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 五幕「蟲の唄 むしのうた」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 六幕「羽根 はね」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 七幕「凶影 きょうえい」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 八幕「無骸流 むがいりゅう」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 九幕「群 むら」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十幕「獣 けもの」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十一幕「秋霜 しゅうそう」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十二幕「終血 しゅうけつ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十三幕「誰そ彼 たそかれ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十四幕「改起 かいき」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十五幕「臓承 ぞうしょう」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十六幕「肢転 してん」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十七幕「儀結 ぎけつ」
 『無限の住人-IMMORTAL-』 十八幕「鬼哭 きこく」

 無限の住人

|

2020.02.08

『無限の住人-IMMORTAL-』 十八幕「鬼哭 きこく」

 江戸城での失態から新番頭を解任され、三十日後に切腹することとなった吐鉤群。後任の英により江戸追放止まりの処分となった逸刀流だが、吐は新たに六鬼団を率いて逸刀流を追う。しかし道場跡に仕掛けられた罠により六鬼団は痛撃を受け、英は妻子を人質に吐に武装解除を迫るが……

 いよいよ今回から最終章に突入――ですが、主人公コンビの出番はほとんどなく(というか何だか無駄にラブいオーラで一つ屋根の下で暮らしていたりして)、吐の庶子・燎の語りで、吐鉤群の姿を中心に描かれることとなります。

 不死力解明実験の大失敗の上に、女子二人に江戸城地下に突入され、爆発やら鉄砲水やら起こされた失態を問われ、新番頭の座を追われた吐鉤群。冷静に考えるとその場で打ち首にされても文句ないくらいのやらかしぶりですが、しかし切腹で――しかも三十日の猶予を与えられて――済まされたのは、これまでの功績(=色々と幕政の裏を知っている)からでしょうか。
 しかしそこで新たに団鬼――ではなくて六鬼団なる死罪人を集めた私兵団(しかも下っ端は鬼面のコスプレ)を作った鉤群。もうここまでくると、このオッサン本当に懲りてない――というより単にこういうのが好きな人なのだな、というしかありません。自分自身が六鬼団のリーダーの座に就いてますし……

 ちなみにこの六鬼団、名前の通りというべきか、トップは六人の遣い手で構成されているようですが――その一人・佩矢坊は、アバンタイトルの段階で、あれこいつも六人の一人だっけ? と言うくらいの勢いで逸刀流残党の一人・馬絽祐実(万次のそっくりさん)に斃される羽目に。その後釜に燎が加わったのですが、逸刀流の新入りを一人斬ったものの、相変わらず女性には甘い凶に手加減されてダウンするくらいの腕前なのがだいぶ不安ではあります。

 しかし吐が無駄にハッスルしている一方で、彼の後任の新番頭・英は、密かに天津と接触して逸刀流を江戸追放で事を収めようと謀ったり、吐の妻子を人質に押さえるなど暗躍。それなりに有能なのだとは思いますが、天津が連れている槇絵の実力を見抜けない時点で、大体どの程度の人物か想像がつきます。というより、声が二又一成の時点で推して測るべしでしょう。
 ラストでは、逸刀流の退去期限七日までに逸刀流を討てなかった吐に対し、この妻子を前面に出して身柄を拘束しようとするのですが――いかにも時代ものらしいこの先の展開を何と評すべきか。個人的には吐があまりにこれまでやりたい放題やってきたツケを家族が払わされているようで、あまり乗れなかったところではあります。


 というわけで最終章のプロローグといった趣であった今回。六鬼団に加えて幕府関係者、逸刀流新規加盟組、さらに宗理先生の新しい弟子二人と、新キャラだけでも一気に増えたところに、これまで登場したキャラクターたちも集結すると思われますが――そんな中で万次と凜は埋没しないで済むのか。この回を見ただけではいささか不安ではありますが……


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 『無限の住人-IMMORTAL-』 十七幕「儀結 ぎけつ」

 無限の住人

|

2020.02.01

『無限の住人-IMMORTAL-』 十七幕「儀結 ぎけつ」

 ついに万次のもとに辿り着いた凜。二人の前に現れた吐鉤群を万次の機転で倒したものの、さらに幕府の番兵、そして山田浅右衛門師弟が立ち塞がる。そこに駆けつけた瞳阿、復活した夷作とともに敵を蹴散らす万次と凜だが、鉄砲水が襲いかかる。辛うじて逃れた二人の前に現れたのは……

 あと2回くらいかかるかと思いましたが、不死力解明編はこの回でまさに怒濤の完結。かなり圧縮した内容に、これまでの構成は――と思ったりもしましたが(特に前々回)、しかしアクションをほとんど今回に凝縮したおかげで、原作ほどではないとはいえ(あれは事前のストレスが異常)、一気呵成の解放感に繋がっていたと思います。

 そのアクションの方も、万次vs鉤群、瞳阿vs浅右衛門、夷作vs弁鬼、万次vs浅右衛門×2と実に盛りだくさん。どれも時間自体はそこまで長くはありませんが、しかし様々なシチュエーションで楽しませてくれます。特に山田浅右衛門はほとんど今回初めて動いたのに近いキャラですが、その飄々としたような惚けているような妙な台詞回しと、万次や逸刀流、無骸流の面々とはまた異なる剣術――冷静に考えれば、本作に登場する中で数少ない、面白武器を使わない「正当派」の剣士であります――は、実に面白い。
 その中でも、これまた本作では珍しい名前付きの技「斬鉄」は、振り上げ・振り下ろしなどの予備動作なしで、その名の通りに鉄を断つという、ある意味浅右衛門の設定に相応しい技で、瞳阿相手にこれを放った時の台詞のとぼけ振りも相まって、地に足が付きつつも、底知れぬ強キャラ感を見せてくれていたかと思います。

 そういえばバトルといえば、冒頭に凜vs歩蘭人というか、凜が歩蘭人を一方的にボッコボコにする場面があるのですが――これがまあ、これまでのストレスを一気に吹き飛ばしてくれる、まさに溜飲が下がる場面である一方で、妙にギャグめいた演出になっていたのが、ちょっと残念ではありました。シチュエーションの時点で既におかしいのだからそれだけでよいのに……
 またもう一つ、原作では四人がかりで戦うこととなった不死身の怪物・鵺一号との戦いが、このアニメでは丸々カットされているのですが――しかしこちらはまあ妥当なところではあるでしょう。いきなり登場したわりに妙に強敵だった上、リアリティレベル(今更ではありますが)をいきなりガクンと下げるキャラだったので……

 何はともあれ、地上では歩蘭人の実験をいやいや手伝っていた虎右衛門や軽小沢が妙に成し遂げた感を出しながら人々を助け、歩蘭人もあれだけやらかしたくせに(軽蔑していた)兄の医師としての信念ある言葉の前に一気に正気に返り、一件落着感あるのですが――しかしここですっかり忘れていたあの男が、さらに意外な人物とともに登場することになります。それは数回前のCパートに出たっきりだった尸良――その彼が、逸刀流は川上新夜の子・練造を引き連れて登場したのであります。
 鎖から逃れるために斬った万次の腕を拾った練造は、そのまま尸良のもとにそれを持って行き、尸良は馬鹿笑いして退場するのですが――原作ではここで
「春までに殺すッ 春までに殺すッ それまで愛し合ってろお前らァア!」
と、前半はまあわかるけれども後半お前何言ってんの? という台詞を放つのですが、それが丸々カットされてしまったのは残念であります。意味不明ながら、しかしやはり尸良っぽい名台詞だっただけに……
(まあ、その直後のようやく脱出して地面に横たわる万次と凜の姿が、無駄にラブく見えてしまうからかも――と深読みはできるのですが)


 さて、ラストにとんだ乱入者はあったものの、ひとまず万次は救出され、凜と瞳阿はいい感じで友情を結んで別れ、歩蘭人はあれだけやらかしておきながら何だかイイ感じのことを言って――しかしこいつが子孫をちゃんと教育しておかなかったおかげで後に万次がまた面倒な目に遭うわけですが――不死力解明編も大団円。
 途中ほとんど放送事故のような展開もありましたが、終盤(というか今回)のバトル釣瓶打ちもあり、何となく満足できる結末ではありました。

 さて、残すところは最終章ですが――果たして後何話残っているのか、その辺りが大いに気になるところであります。


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 無限の住人

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2020.01.26

『無限の住人-IMMORTAL-』 十六幕「肢転 してん」

 狂気に陥った末、無数の被験者を犠牲にして実験を続ける歩蘭人。一方、捕らえられた夷作を救い出そうと奔走する凜と瞳阿は、同様に捕らえられた人々が不死力の実験に使われていると知り、地下道から江戸城に乗り込む。群がる役人たちを蹴散らしながら進む二人だが、ついに見つけた夷作の姿は……

 「相変わらず狂ってる歩蘭人の実験」「瞳阿と夷作の過去」「百琳と偽一の想い」「凜と瞳阿の救出作戦」と、一話で結構盛りだくさんであった今回。原作では単行本2巻分とあまり進んでいない気もしますが、前話があの調子だったので、非常に大きく話が動いたという印象であります。

 まず歩蘭人は――相変わらず無駄に気合いの入った演出でその狂人ぶりをアッピール。もうそれはええっちゅうんじゃ、と言いたくなるような心象風景ですが、今回はそれほど時間は長くなかったのが救いではあります。
 しかしその被害は甚大で、とんでもない分量の死体が遺棄されたり、江戸城地下がバイオハザード状態になっていたりとやりたい放題。一応裏があるとはいえ、鉤群もやりすぎなのでは……

 一方、これまでの気の強さはどこへやら、ほとんど共依存状態だった夷作がいなくなって瞳阿のメンタルはどん底。今回は幾度かに分かれて二人の出会いから旅立ちまでの姿が描かれますが、片やアイヌの村出身、片や外国人宣教師の息子と、二人ともこの時代のこの国においては異邦人であるだけに、肩を寄せ合って生きてきたことはよく理解できます。
(しかしこの二人を仲間に迎え入れた天津は度量が大きい――と思いきや、怖畔というさらにとんでもない奴がいるので、彼らはまだまだ目立たないだけかもしれませんが)

 そして百琳と偽一ですが――以前にちらりと仄めかされていましたが、逸刀流残党に捕らえられた際の暴行が元で、妊娠していた百琳。もう鬼畜(原作が)としか言いようがない展開ですが――生まれてくれば最悪の記憶を思い出させるであろう子供を堕ろそうとする百琳を偽一は静止するのでした。
 もちろんこれは百琳の気持ちを思えばあまりに無神経な行動であるかもしれません。しかし百琳がこの世界に入ることとなった理由が我が子を殺された怒りからであったことを思えば、そして偽一もまた病の息子のために――そしてその息子も世を去ったことを思えば、子殺しを止めようというのは、それなりに理解できるところではあります。

 そしてその百琳を頼るのは凜――ほとんど断片的な(描写しかない)情報で万次の、夷作の行き先を突き止めた彼女は、百琳に陽動を依頼。役人に捕らえられて連行された人々の家族たちを百琳が煽動して周囲を騒がしている間、ついに凜と瞳阿は江戸城地下に広がる迷宮に潜入することに――嗚呼、ここまでが本当に長かった。
 しかし無駄に露出の多い衣装で潜入したり、いきなりポッと出のキャラに捕まって凜が拷問受けたりブチ切れた瞳阿が皆殺しにしたり(怖畔の出番が……)、そこら中うろついているゾンビをダッシュ回避で先に進んだり、(たぶん果心居士のところからギってきた)火薬に黄金蟲で格好良く火をつけたら自分も巻き添え食ってダメージ受けたりと、これまでの鬱憤を晴らすような凜の大冒険活劇ぶりに、前回自分が見たものは何だったのだろう――と再び思わないでもありません。

 しかし今回の凜、非常に覚悟が決まっているようでいて、殺人は瞳阿に任せるという形になっているのがどうにもスッキリしないところで、その直後に瞳阿を庇って百叩きを受けたとはいえ、万次を用心棒に雇っていた時以上に、都合のよいスタンスが気にならないでもありません。
 とはいえ、その瞳阿も故あって途中で脱落し、ただ一人で先に進むことになった凜。やたらと暗い画面の中、先に進む凜という、何となく中途半端な場面で次回に続きます。


 ……今回万次の出番あったかしら?


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 無限の住人

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2020.01.18

『無限の住人-IMMORTAL-』 十五幕「臓承 ぞうしょう」

 万次の四肢を移植することにより、その不死力を出羽介に移そうと試みる歩蘭人。しかし一度は成功したかに見えた実験は失敗し、出羽介は命を落とす。絶望に沈む歩蘭人だが、しかしその目は次第に狂気の光を帯びるのだった。一方、瞳阿と夷作とともに町を歩いていた凜は役人に絡まれるが……

 何故か年が明けてから放送が一週空いた今回、いよいよ不死力解明編の真骨頂ともいうべき展開――つまり頭のおかしい人による不毛な実験の姿が描かれることとなります。。
 といっても前半ではまだおかしくなかった歩蘭人は、ちょっとおかしい感じの山田浅右衛門(別の手段で不死の薬探しに行きそうな感じの弟子付き)の精妙な剣術を手術道具代わりに実験にチャレンジ。万次の手足を切っては出羽介にくっつけ、しばらくしてからまた別の部位と取り替え、それによって出羽介の体に血仙蟲を移そうという、それなりに理には叶っているけれどもやはり頭がおかしい手段で、かなりイイ線いったのですが――成功させたいのかさせたくないのか無駄にプレッシャーをかける鉤群(何故か声が変わった)の眼前で大失敗、出羽介は無残な最期を遂げることになります。

 今冷静に見てみれば、肉体の相性もさることながら、いくら肉体が不死に近づいても体を切り刻まれ、別人と繋げられるという精神的なストレスを全く考えに入れていなかったのもいけなかったような気もしますが――それはさておき、ここまで派手に失敗してしまえば御払い箱確定。それはすまわち、国禁を犯して海外渡航し、捕らえられた彼は罪人に逆戻りということを意味します。いやそれ以上にこの失敗は、彼がそこまでの犠牲を払い、人々の命を救うために会得した自分の医術が――敵視し、下に見ていた東洋医学と同様に――無力であったことを証明することにほかならないのであります。

 そして一度はどん底に落ちた歩蘭人の精神はわかりやすく壊れ――とサラッと書いてしまいましたが、今回はこの過程を嫌と言うほど丹念に描写――鉤群にもやる気を認められた(というか単に後任が見つからなかっただけだと思う……)彼は、死罪人をどんどんおかわりして、じゃんじゃんバラバラにしていくのでした。カワウソだから人間じゃないもん! とばかりに、犠牲者の顔に戯画的な獣の顔の絵を描いた袋を被せて……


 と、方法はちょっとどうかと思うけれども目的は真っ当だった人が、方法は全くダメだし目的は覚えてますか? という頭のおかしな人になっていく様を、微妙に前衛的な演出も交えてじっくりと見せられた今回。
 自分は一体何を見せられているんだろう、これは何の話だったんだろう――と、次第に自分の正気も怪しくなってくる(あるいは真面目に付き合っている自分に怒りが湧いてくる)内容は、不死力解明編ならではであります。

 そして、あまりといえばあまりの歩蘭人の所業につきあわされる助手の虎右ェ門に、何だかとても親近感を感じたり……


 しかし事ここに至って、もはや万次が画面にもほとんど登場しなくなった一方で、凜はようやく終盤に登場。なんとなく共同生活にも慣れた瞳阿・夷作と歩いていたところに役人に絡まれ、ついに戦闘モードに移行して逸刀流の本領を発揮した瞳阿と夷作の大暴れに巻き込まれることになります。
 しかし夷作の犠牲で何とか逃れたものの、彼が囚われてメンタルがポッキリ折れた瞳阿を、逸刀流のことは追っかけのアタシが一番知ってるんだからね! と言わんばかりに励ます凜の姿には、これまでの戦いで無駄にタフになったことが窺われて微笑ましいところではあります。

 しかし何でこんな無宿人狩りみたいなことが行われているのかな――と、わかりやすい伏線も張られ、ようやく万次と凜の間が繋がりそうな気もしてきたところで、次回に続きます。
 いやもう早く気づいて万次助けにいこうよ、というこちらの切なる願いが、早いところ叶ってほしいものです。


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