2022.05.23

椎名高志『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』第2巻 共闘新旧世代 そして親世代の抱える想い

 アニメは数ヶ月前に大団円を迎えましたが、コミカライズの方はまだまだ絶好調――『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』第二巻の登場です。ついに揃った三人の向かう先は退治屋の里、そして結界の山。そこで三人を待つ者は、懐かしい顔ぶれと、新たな敵――!?

 戦国時代からやってきた生き別れの妹・せつな、そして従姉妹のもろはとともに、自分の本当の故郷である戦国時代に向かった女子中学生・とわ。そこで自分が大妖怪・殺生丸の子だと知った彼女は、突如襲ってきた妖怪との戦いの中で、忘れていた記憶を取り戻すことになります。
 そして時代樹の精霊から、時の歪みを正すため、西の果てに向かえと告げられた三人は、旅立ちの一歩を踏み出すことに……

 というわけでいよいよ始まる三人の旅ですが、西の果てに向かう前に立ち寄ったのは、あの琥珀率いる退治屋の里。ここで里の娘たちからめちゃくちゃ尊がられるせつなととわがまたおかしいのですが、やはり印象に残るのは、殺生丸に対する琥珀の思い入れでしょう。
 アニメでは完全に一歩引いた形であまり目立ちませんでしたが、考えてみれば琥珀は、作中でりんの次に殺生丸とは深い縁のある人間。そんな彼が殺生丸の謎めいた行動に、そしてその二人の娘に感傷を抱かないはずはありません。前巻での草太ともある意味通じる彼の内面描写には、数ページの描写ではあるものの、大いに印象に残るものでした。

 そして、対象こそ違え、同様の想いを抱く者は彼だけではありません。退治屋の里で装備を整えた三人が、次に向かうよう指示された山で待つのは、弥勒と珊瑚――そして鋼牙!
 これまた犬夜叉とかごめと縁深い人物でありながら、アニメではほとんど全く出番がなかった(まあ『犬夜叉』でも途中フェードアウトでしたが……)鋼牙に、ここできっちりと出番があるというのも、実に嬉しいところであります。

 そしてもう一人、この場で三人を待っていたのは、鋼牙と同じ妖狼族の凱風――アニメではもろはの師であった女性であります。
 そんな重要な立ち位置でありつつも、アニメではわずか一話で、しかもあまり格好良くない形で退場してしまった凱風。それがこちらでは(もろはとの因縁はあるものの)また少々異なる立場で登場するのも、アニメ視聴者としてはグッとくるのです。


 さて、ここで弥勒たちは、アニメでもキーアイテムであった虹色真珠(ちなみにこちらでは明確に出自は異なる様子)を使って、ある役目を担っていたのですが――しかし現れるのは、味方たちだけではありません。
 それは麒麟の四凶のうち、饕餮と檮コツ、そしてその息子・若骨丸――アニメでは序盤の敵という印象でしたが、こちらではその場に居合わせた親世代とも互角クラスの強敵という印象であります。

 かくて展開するのは、鋼牙vs若骨丸、弥勒・せつなvs饕餮、凱風・もろはvs檮コツという新旧世代入り乱れてのバトル!
 そこに加わっていないとわは珊瑚とともに雑魚妖怪を引き受けるのですが、二人の前に、かつて殺生丸の屋敷を襲撃し、姉妹を引き裂くきっかけとなった焔も参戦、さらに味方サイドも――と、純粋にバトルものとしても盛り上がりまくる展開であります。

 そしてそのバトルの中で描かれるのは、三人のパワーアップと覚醒――親世代の葛藤と新世代の強化、そして新たなる展開への導入、そしても一つタイトルの回収と、ここまで盛り込んでくるか! と、畳み掛けるような展開には、ただただ感嘆するばかりです。
(饕餮のなんでも喰う能力に、こちらではそう来たか! という由来が設定され、弥勒の複雑な胸中と重なる辺り、ただ唸るしかありません)


 限られたページ数で、元作品の設定を用い、元作品と同様の物語を描く――そんなコミカライズの役割を果たしつつ、元作品では描かれなかった、そしてファンが観たかったものを描いてみせる本作。
(その他アニメでのツッコミどころを埋めてみせる――とわの衣装とか)
 豪華な顔合わせのスピンオフ、などという言葉では収まらない名品であります。

 そしてこの巻のラストでは、あの男と、そして第二期で登場した彼女も登場。物語は加速するのか、新たな道に向かうのか、いよいよ期待は高まります。


 しかし長年ダウンしていた邪見を見事復活させた「妖怪の治療が得意なお方」とは、弟子の顔と口調を見るに、もしかして……


『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』第2巻(椎名高志&高橋留美子ほか 小学館少年サンデーコミックス) Amazon

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2022.03.28

『半妖の夜叉姫』 第48話「永遠に続く未来」

 犬夜叉の手を借りて無事借金を完済したもろは。一方、とわとせつなは、殺生丸が届けた反物を仕立てた着物をりんからもらい、父の真意を訝しむ。そこにやってきたもろはは、屍屋に持ち込まれた西国での妖怪退治の依頼を持ちかける。その依頼人とは……

 ついに最終回の今回、麒麟丸を巡る物語は前回でほぼ終了し、その後の三姫たちの姿が描かれることになります。

 冒頭で描かれるのは、氷雪を操る妖怪と戦うもろはと犬夜叉の姿。二人で妖怪退治を始めたのかと思いきや、娘が借金生活者だったのを知ったかごめが激おこの上、犬夜叉に手助けを厳命したのであります(しかもこの借金、返す機会があったのに敢えて残していたと知ったら、かごめがどんな顔をするか……)。さすがに父娘の連携はバッチリで、なかなか強そうだった妖怪もあっさり倒してしまうことになります。しかしこの戦いの最中、相手の氷の息で手を凍らされた犬夜叉が、めんどくせえとばかりに氷の部分をガンガン叩いて砕くあたりが滅茶苦茶らしい感じでありました。
 さて、無事に屍屋への借金を返済したもろはですが、そこに妖怪退治を依頼したいという、どこかで聞いたような声の覆面の若者が現れます。

 一方、りんから新しい着物をプレゼントされるとわとせつな。りんは殺生丸が届けてきた反物を仕立てたというのですが――とわが高かったのではと妙な心配をするのは可笑しい一方で、殺生丸のことだから限度知らずでもの凄い高級品を買ってきそうだよな、という気はいたします。
 それはさておき、今ごろになって父親っぽい顔をする殺生丸に娘たちは不審な顔。そもそも最初から助けてくれればこんな苦労はしなかったのに――というとわの疑問は身も蓋もありませんが、まあ客観的に見れば放置もいいところだったわけで、その辺りの気持ちはごもっともといえます。しかしせつなは一回、とわも精神的に一回死んでいると言われて、私も死んだことあるわよーとあっけらかんと言うりんは、やっぱり殺生丸の奥さんに向いていると思います。(しかも二回死んだしな……)

 さて、何だかんだで着物姿となったとわとせつなのところにやってきたのは、同様に母に仕立ててもらった着物を着たもろは。三人がエンディングと同じ姿になったのはちょっとしたサービスというべきかもしれませんが、殺生丸の真意をいまだに掴みかねている二人に対して、半妖でも強く生きていけるようにするためだよ! と言い切るもろはは、らしいっちゃらしいというべきでしょうか。かなり当たっているのだとは思いますが。
 それはともかく、面白い依頼が入ったからと二人を屍屋に連れて行くもろはですが、そこで待っていたのは、鹿猪と名乗るあの謎の青年。と、ここでさりげなく(?)もろはたちはとわを残して屍屋から出ていき、そして残されたとわは――鹿猪に対して壁ドン一撃! たまらず正体を現したのは理玖――まあ、登場した時から福山潤の声で喋ってるんですから、誰にでも一目瞭然ではあります。

 しかしまあ前回希林理の刃をくらって消滅、しかも本体である麒麟丸も成仏したのに何故? とせつなならずとも言いたくなりますが、その理由が麒麟丸とりおんが魂と魄を分けてくれたから――とまたえらいアバウト。しかし元々が人造生命なので、これはこれでありなのかもしれません。もっとも、どうやら今回は人間(妖怪?)に生まれ変わったようですが……
 何はともあれ、とわにとって理玖も復活したしめでたしめでたし、翡翠の自分への気持ちに全く気付いていないせつな、そもそもそういう話の全くなかったもろはと、三人(と理玖、何故か竹千代)は伊予に向かいます。そこでメインテーマをバックに、もろはが、そしてとわとせつなが襲いかかる妖怪たちの群れをなぎ倒し――『半妖の夜叉姫』、一巻の終わりであります。


 冒頭に述べたとおり、本筋は前回で終わったので今回は一回丸々使ってのエピローグ。正直なところ、作画にあまり力が入っていないのは残念でしたし、本当に後日談という以外ない内容でしたが、理玖が復活したのだけは意外だったかもしれません。

 前回触れたように、結局親は皆子供を想っているものなんだよ、というオチはちょっと微妙かなあという印象はありますが、血の繋らない日暮家(今回、現代で元気にやっている姿が流されたのは、嬉しいような切ないよいな)ととわの関係をみれば、あまり深く考えなくてもよいのかもしれません。
(麒麟丸とりおんの縁もプッツン切っていましたし……)

 まあ、いくらでも話を広げていけそうな結末自体は良かったと思います。それと娘たちの成長に、内心すごく嬉しそうな殺生丸も……


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『半妖の夜叉姫』 第47話「父と娘と」

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2022.03.20

『半妖の夜叉姫』 第47話「父と娘と」

 理玖の犠牲により、希林理を倒したとわ。一方、麒麟丸は殺生丸との戦いの中で自分を取り戻し、最後の決着に臨む。そして三姫が縁の糸を断ち、りおんを妖霊蝶から解放したかに見えたが、そこに現れた希林の思念がりおんを飲み込む。自分が殺された時のことを追体験させられるりおんに対し、とわは……

 久々のアバンでは前回のとわvs希林理の続きから。追い詰められたとわですが、そこにいきなり襲いかかったのは理玖――? おいらは愛する人しか殺さないとこの期に及んでメンヘラ一直線なことを言い出したと思ったら、それは(当然)芝居で、とわに押しのけられた勢いで希林に襲いかかり――と、こんな見え見えの攻撃に引っかかる希林ではありませんが、しかし理玖が一撃を食らったその背後から飛び出したとわの攻撃は躱せず、胸を刺された上に右腕を斬られて、あっさりと消滅します。そして理玖も、かつて理玖は理玖と言ってくれたとわに、心からの礼と別れを告げて消滅することに……

 そしてりおんの元に駆けつけたとわも加わり、再び縁の糸を切るたびにりおんの声が聞こえるというイベントが再開。その中でりおんは、麒麟丸の身を案じるあまり、戦い続ける父を止めたいと笑顔を封じたことを語ります。しかし麒麟丸は、そのりおんの笑顔を見るために戦い続けていたのですが……
 そんな悲しいすれ違いをしているとも知らず戦い続ける麒麟丸を前に、お前はまるで人間のようだ、お前とは戦うにも値しない、などととと思い切り煽る殺生丸ですが、当然ながらこれに麒麟丸は激昂。しかし敢えて殺生丸がこの場に連れてきたりんの姿に、かつての自分自身の行動を思い出し、妖怪としての自分自身を取り戻します(しかしこれ、一歩間違えたらお前も同じじゃねーか! と麒麟丸が思ってもおかしくないと思います……)。その姿に、殺生丸も正面から戦いを受けて立つのですが――全力を尽くした末、勝利を収めたのは殺生丸でありました。

 そしてりおんが伸ばした縁の糸が地に伏した麒麟丸を絡め取り、麒麟丸の体は妖霊蝶の中の彼女の前に。そして麒麟丸の体に触れ、最後の別れを告げようとするりおんですが、既に現し身を失ったその体では触れることができず――と、そんなところに浮かび上がったのは、なんと妖しくきらめく眼鏡! 右腕を斬られて消滅したかと思った希林理ですが、本体は既に眼鏡であったものか(本気にしないように)、その瘴気でりおんを包み込んだ希林は、半妖こそが諸悪の根源と植え付けるように、りおんが半妖に殺された時の光景を再現したではありませんか。

 かつて自分を殺した半妖を前に、ただ怯え叫ぶことしかできないりおん。そして彼女の絶望を映したように、外でかごめや弥勒たちが封じていた妖霊蝶も再び瘴気を放ち動き出します。怯えるりおんにに対し、身動きの取れない三姫は、自分の力で戦えと応援するしかないように見えたのですが――しかしその状態からとわは、希林から奪い返した斬星剣で周囲の妖気を吸い取ろうとします。己の魂を危うくしながらもりおんに力を貸そうとするとわの姿に、りおんも自分を取り戻し、自分自身の力で敵の幻を打ち砕き、希林の眼鏡も今度こそ消え去るのでした。
 そして妖霊蝶の中に現れた殺生丸とりん、邪見が見たものは、倒れ伏したとわの姿。しかしとわはりおんの魂に自分の体を使えと語りかけ、今度こそ麒麟丸に触れることができたりおんは、満足して父と二人で消え、とわも意識を取り戻したのでした。

 そして戦いは終わり、ついに安らぎの時を迎えた一同。母とひしと抱き合うとわとせつな、その姿をどこか満足げな表情で見つめる殺生丸――そして殺生丸は何故殺生丸親子に慈悲をかけたのかという邪見の問いに、それでは娘たちの心が救われぬと答えるのでした。滅茶苦茶丸くなったな殺生丸……
 というところで大団円、一巻の終わり――ではなく、もう一回続きます。


 麒麟丸と妖霊星・妖霊蝶を巡る物語の決着編であり、そしてサブタイトル通り、物語を通じて描かれてきた父と娘の関係性の結末でもありますが――そういうことではないとわかっていても、毒親に振り回されたりおんが自分の力で戦えと諭される展開には、やはり違和感が強くあります。この場合、そうしない限りは状況は変わらないのは確かなのですが……
 まだエピローグ(であろう)次回が残っているので結論は早計ですが、今回の時点では結局親子関係そのものまではメスをいれないのだな(受け容れるしかないのだな)、というのは、正直残念なところではあります。いや、そう描くしかないのはわかるのですが。


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2022.03.14

『半妖の夜叉姫』 第46話「絶望の妖霊蝶」

 りおんを救うため妖霊蝶に乗り込んだ三姫。その前に現れた希林理をとわが足止めする間に、せつなともろははりおんの元に向かう。一方、外の世界では犬夜叉たちが妖霊蝶の動きを止めるため奮闘し、殺生丸は麒麟丸との決闘に臨む。とわが希林に苦戦する中、せつなともろははりおんの心の声を聞くが……

 いよいよクライマックス、今回もアバンなしで最初から最後まで決戦また決戦が各所で繰り広げられることになります。

 各地で妖怪たちを吸収・消滅させていく妖霊蝶。その猛威は竹千代の故郷である狸穴島まで及び、あわや一族消滅かというところで、かろうじて犬夜叉とかごめの力で気を逸らすことができたのですが――しかしもちろん、このまま野放しにはできません。そんな中、理玖からりおんが取り込まれたと聞き、妖霊蝶の中に乗り込むことを決意した三姫。どうやらりおんも彼女たちは拒絶はしないらしく、三姫と理玖のみを中に迎え入れます。
 と、蝶の中とは思えぬ空間に驚く間もなく(本当、何なんでしょうかこの中の調度は)、希林先生、いや希林理に出迎えられる四人。希林は世界をりおんの望むものに変えるため、妖怪たちを滅ぼすだけでなく、争いを繰り返す愚かな人間たちを管理すると、やっぱりエコロジー系ラスボスチックなことを言い出します。ここは現代育ち同士、因縁というか顔見知りの自分が引き受けたと、とわともろはを先に行かせ、希林と対峙するとわと理玖。しかし理玖はさっさとりおんによってどこかに引っ張っていかれ、とわと希林の一騎打ちは、蔵書庫のような空間で続くことになります。

 世界中の本が集まっているという蔵書庫(だからいつの間に――と、もしかして麒麟丸の船を取り込んだのかしら)の中で、激しくぶつかりあう二人。その最中、希林は実は歴史の先生になりたかった、と言い出します。歴史上、妖怪が人間に手を貸した例はいくらでもあるのに、人間の歴史書からは妖怪の存在は抹消されている。子供たちには私が真実の歴史を教えなければ!
 ――そりゃ歴史の先生にはなれません。というかよくほかの教科とはいえ先生になれたな!? という感じですが、それはさておき斬星剣を使いこなす希林によって、とわはあっさり妖気を吸われ普通の人間となってしまいます。もっとも、彼女の今の得物は真・菊十文字なので、武器の面で影響はありません(そのために彼女の手に渡っていた?)が、しかしそれでも分が悪い。人間の愚かさを説く希林に対して、人間にも妖怪にも悪いやつもいれば良いやつもいると反論、口では負けていないとわですが……

 一方、妖霊蝶の奥、りおんが閉じこもった空間にたどり着いたせつなともろはですが、りおんは二人を拒絶し、色とりどりの糸が二人を取り囲みます。そして糸が迫ってきますがこれは鋭利な刃も同じ、一歩間違えればサイコロステーキというところですが――糸といえばこれ、というべき所縁の断ち切りがその能力を発揮します。どれか一本はりおんから出た糸――というわけで、せつながそれを見切り、二人で斬っていくという展開ですが、一本切るたびにりおんの心中が一言ずつ流れ、そして糸がリセットされるというのは、RPGのボス戦の演出みたいではあります。
 それはともかく、その心の声の中で語られるのは、麒麟丸に戦いの場に連れ回されるのが嫌だったという繰り言。あんな親を持った子供の気持ちはわかるまい、と言っても、三姫ならわかるんじゃないかな……

 そしてその麒麟丸はといえば、殺生丸と妙に良い動きで一対一の決闘の最中。相変わらず煽りスキルの高い殺生丸に、まるで人間のようだなどと言われながらも、互角の戦いは続きます。
 そして犬夜叉とかごめは、妖怪の群れから人々を守っていた弥勒一家と妖怪退治屋を糾合、フルメンバー+αで、妖力では歯が立たない妖霊蝶の動きを、法力と霊力で封じるための行動を開始します。妖怪退治屋や金烏玉兎コンビが妖霊蝶の注意を引き、珊瑚の漆黒の飛来骨が光の翼のようなエフェクトで足止めしたところに、かごめの破魔の矢が動きを止め、弥勒の法力が妖霊蝶を縛る――怒涛の連携作戦で動きは止めたものの、さて内部の三姫は苦戦の真っ最中。特に追い詰められたとわの運命は……


 四元中継で決戦が繰り広げられる今回ですが、やはり特に印象に残るのはとわと希林の対決。現代では人間大好きと言っていたのに、戦国に戻った途端(りおんが死んだと聞いた途端)いきなり違うことを言い出した希林は、やはり右腕に脳はないのかな、という気もします。
 というか結局本体がどうにかしないと状況は動かない気もしますが、説得役(?)が殺生丸なので、はたしてどう転ぶか……


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『半妖の夜叉姫』 第45話「希林理の妖征伐」

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2022.03.06

『半妖の夜叉姫』 第45話「希林理の妖征伐」

 妖霊星を戦国時代に持ち帰った希林理。りおんの前に現れた希林は、彼女の望みを叶えると称し、吸妖魂の実を用いて妖霊星の中で眠っていた妖霊蝶を羽化させる。一方、現代に残されたとわたちは、育ての親である草太たちと別れを告げ、阿久留が最後の力で開いた時空の穴を通じて戦国時代に帰るが……

 アバンはなしの今回、冒頭で描かれるのは、希林先生が妖霊星を持ち帰り、天にめり込むように妖霊星が固定されたためか、時の穴から無限に妖怪湧きとなった戦国時代の有様。これを見て、この状況は半妖の夜叉姫のせい、みたいなことを言っている麒麟丸には、この人何言ってるの――という気分になりますが、本人は時の穴に突っ込むのに夢中で、その間の戦国の状態を知らなかったから、ということにしておきましょう。その間に、とわから斬星剣をいただいてきた希林先生は妖怪たちを斬りまくっていますが、これでは何かに足りないと思案顔であります。

 一方、時代樹の反応がなくなって現代に取り残された三姫は、引き続き日暮家に歓待されることに(三人を神社で見つけて飛びつく大ママ、所縁の断ち切りに顔ぶつけそうで怖い)。それでも戦国時代に帰らなければならないと力説するとわですが、ひとまず今晩は休むことになります。芽衣に一緒に寝ようと誘われるせつな、大ママに風呂を勧められるもろはと、微笑ましい光景の一方で、草太ととわの間に流れる空気が切ない……
 そして翌朝、時代樹への三姫の懸命な呼びかけによって時の穴が開くものの、力を使い果たした阿久留はとわの手の中で消滅。悲しむ間もなくせつなともろはが穴に飛び込む一方で、とわと草太一家はもしかしたらこれが最後になるかもしれない別れを告げることになります。とわに対し、とわといた十年間、ぼくたちは十分すぎるほど幸せだったと優しく語りかける草太ですが、ここで彼と手をつないだとわが、幼い頃の姿に戻って礼を言うのは、何ともグッとくる演出でしょう。

 さて、血の繋らない親子の深い心の繋がりが描かれた一方で、戦国時代ではりおんが血の繋がった父である麒麟丸を討つために、麒麟丸の船に乗り込みます。が、そこで待っていたのは、当の麒麟丸を眠らせた(……)希林先生であります。再会を異常に喜ぶ希林先生は、りおんに対してあなたが思い描く世界を作ってみませんかと言葉巧みに語り、彼女を味方につけるのに成功します。
 そして希林先生に促されるまま、りおんが吸妖魂の実を妖霊星に掲げれば、砕け散った実から凄まじい勢いで妖気が吹き出し(?)、そしてその中から現れたのは、前回ちらりと姿を見せたあの蛹――さらにそこから姿を現したのは巨大な蝶・妖霊蝶! OPに姿を見せていたのは夢の胡蝶ではなくこれだったようです。

 妖霊蝶と縁を結び(どう見ても伏線)その内部に消えた希林先生とりおん。そして今頃目を覚ました麒麟丸は、その光景を目の当たりにして激怒、中に突入するのですが――そこで見たのは、妖霊蝶に繋がれ、どう見ても自分の意識はなさそうなりおんの姿であります。激昂するまま希林先生に斬りかかる麒麟丸ですが、右腕は私が本物ですからね? と妙に説得力あることを言う希林先生に力負けしてふっとばされた挙げ句、りおんは戦いの場に行きたくなかったと今更気付かされる始末。そして分身に呼び捨てにされたりお前呼ばわりされたりした挙げ句、麒麟丸は殺生丸排除を命じられるのでした。

 一方、丁度戦国時代に帰ってきた三姫は妖霊蝶の誕生と、妖霊蝶が妖怪たちを吸収していくのを目撃するのですが――そこに落下してきたのは、希林先生に用済みと殺されかけて危うく逃れた理玖であります。彼から状況を聞かされたとわは、そこに駆けつけた琥珀と翡翠から菊十文字を託され、せつなともろは、そして犬夜叉・かごめと妖霊蝶に向かいます。その頃、見守るりんの前でようやく意識を取り戻した殺生丸は、刀を手に時代樹から姿を現します。その前に現れたのは、麒麟丸――最後の決着をつけようと望む麒麟丸に対し、殺生丸はりんに「そこで見ていろ。決して退くな」と語り、麒麟丸と対峙し……


 前回異様なハイテンションを見せたかと思いきや、今回は一転して黒幕ムーブ全開の希林先生。りおんの望む世界を作ると称していますが、どう見ても妖怪以外にも色々なものを滅ぼしそうに見えます。一応、人間の作る文明に感動しているので、人間を滅ぼしたり、文明を奪って自然の状態に還したりはしなさそうですが……

 そして登場するたびに色々なものがボロボロと失われていく麒麟丸、実は脳みそは右腕にあったのではという気すらしてきましたが、(十分色々やらかしたとはいえ)是露は正しい引き際だったのだな――と感じさせられます。彼が救われるとすれば、殺生丸との戦いを通じてしかありませんが、犬の大将の言葉に逆らうように、敢えてりんを戦いの場に伴う殺生丸の思惑も気になるところです。


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2022.02.27

『半妖の夜叉姫』 第44話「妖霊星が墜ちる時」

 戦国では時空の扉からあふれ出した魑魅魍魎が各地を襲う中、現代で希林先生と三姫はついに妖霊星と対峙する。表面を覆う瘴気と妖気を引き剥がしたものの、あまりに巨大な妖霊星に苦戦する三姫。しかしとわが斬星剣で妖気をギリギリまで吸い込み、そして希林の力で、ついに妖霊星の動きを止めるが……

 東京タワーの目前までいきなり迫った妖霊星と対峙する希林先生と三姫。いよいよ攻撃――という前にその人外ぶりを遺憾なく発揮した希林先生は、単身妖霊星の中に突入。瘴気と妖気に覆われたその下の妖霊星本体のそのまた内部に、謎の物体(蛹?)を目撃するのでした。
 一方、希林先生の本体たる麒麟丸が強引に時空の扉をこじ開けたおかげで、戦国時代ではまさに地獄の釜の蓋が開いた状態。魑魅魍魎の群れが天地を覆う中、楓ばあちゃんまでが奮戦しますが、そこに駆けつけた犬夜叉とかごめはさすがの貫目で魑魅魍魎を一層してしまいます。(あと七宝も少し頑張った)
 そして町の方では妖怪退治屋に加えて、翡翠以外の弥勒一家も大活躍、なのですが――その中で珊瑚が娘たちと作った新兵器・漆黒の飛来骨は、宙に浮いた梵字を突き抜けて飛んでいくエフェクトといい、バスタービームみたいなエフェクトで魑魅魍魎の群れを粉砕していく様といい、何だかほとんどスパロボみたいな突き抜けぶりです。

 そんな中、尋常でない深手を負いながらも理玖はりおんとともに産霊山に向かいます。そこでりおんが父・麒麟丸を倒す切り札として想定していたのは、吸妖魂――そういえばとわの斬星剣は吸妖魂の「根」なので、本体もあるはずです。そしてその力を現出させるためにりおんが使ったのは、理玖がかつてとわからもらったリンゴの種。まさか今まで持っていたとは、いやここで役に立つとは、という感じですが、りおんが産霊山の奥地で植えた種はたちまちに生い茂り、そして透き通り輝くリンゴの実が……

 さて、現代では戻ってきた希林の指示で、とわとせつながそれぞれの技で瘴気を吹き飛ばし、そして三姫が妖霊星の本体を削る、というゲームのボス戦のような段取りとなったのですが――最初の二段階まではうまくいったものの、仮にも「星」とつくものを殴ってもさすがに無理がありすぎたか、ほとんど全くダメージを与えられないうちに、妖気バリアは復活してしまうのでした。
 しかし妖気とくれば――とここで予想通り頑張ってしまうのがとわ。斬星剣でギリギリのところまで妖気を吸い取り、それを相手に叩き返すという豪快な大技にチャレンジ、見事妖霊星にダメージを与えてみせます。しかしその影響は大きく、辛うじて復活をしたものの、一時は目玉グルグル状態に……。そしてそんなとわたちの頑張りに感動して、ただでさえ高いテンションが異常に上がった希林先生は、なんかもうドラゴンボールのような動きと作画で妖霊星に突撃、何だかよくわからないうちに動きを止めるのでした。

 さて、一段落ついてりおんのことを三姫に聞いてみれば、とっくに死んでいたと聞かされ、ちょっとコワいタッチで愕然とする希林先生。そこで何だかマズいスイッチが入ってしまった希林先生は、自分が麒麟丸を倒して戦国時代の妖怪を根絶やしにしてくると宣言、そのために妖霊星を戦国時代に持ち去ると言い出すのでした。そして本体が強引に開けた時空の穴に、妖霊星を引っ張りながら飛び込む希林先生ですが、その時に三姫に「あなたたちはお目こぼししてあげます」と何やら不穏なことを……

 そして戦国時代に帰還した希林先生ですが、妖霊星を連れてきたものだから時の穴を無理やりぶち抜くことになって、その煽りで時の風車は粉砕(ご母堂様は大丈夫?)、さらに魑魅魍魎が溢れ出す羽目に。そしてこれまで散々スルーしてきた本体のところにシレッと帰ってきた希林先生は(怒った本体にぶん殴られたりしましたが)、現代で撮影してきた世界各地の風景をりおんへの土産として持ち出した上に、持ってきた妖霊星を爆星剣でぶっ壊せばいいと麒麟丸に言い出すのですが――しかしこれはどういうつもりなのか?
 そして希林先生が行った後になって、根絶やしにされる妖怪の中に自分たちの親が含まれると気付き、慌てて阿久留の風車のところまで戻る三姫。しかし時代樹に刺さっていた風車は既にボロボロになり、地面に力なく落ちていて――というところで次回に続きます。


 何だか希林先生がいなかったらどう考えても現代の方は詰んでいたのでは、というくらい文字通りすべて持っていくことになりましたが、その異常なテンションのまま、終盤では謎の行動を取ることになります。どうやら妖霊星――というよりその中に眠る本体を利用するつもりのようですが、ここまで来てまさかの希林先生がラスボス候補に? さすがに可哀想なのでそろそろ麒麟丸にも大妖怪としての貫目を見せていただきたいものです(本当に株暴落しっぱなしなので……)


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2022.02.13

『半妖の夜叉姫』 第43話「暗転の舞台」

 妖霊星の影響で現代に頻繁に出没するようになった妖怪を密かに退治して回る希林先生。そこに帰ってきたとわは、学園で希林先生と対面、妖霊星が間近に迫っていることを知る。そして先に落下した欠片の影響で現れる妖怪を退治するためライブ会場に向かう三姫だが、そこでは萌ママが出演していた……

 現代の都会の闇に潜む妖怪たちを、人知れず狩って回る長髪丸眼鏡丁寧口調の中学教師――という、とんでもなく現代妖怪ものというか伝奇ものテイストなキャラだった希林先生の勇姿で始まる今回。しかし妖霊星が迫るも自分一人では圧倒的に手が足りない――と沈みがちであります。というか、何気に明日妖霊星が落ちてくるとか言ってませんか……?

 と、そんなところで現代に帰ってきた三姫。さっそく神社にお参りに来ていた芽衣をはじめ、大ママにじいちゃん、ブヨに見つかりますが、この方々にとっては、ほとんど里帰りレベルなのがさすがであります。
 しかし三姫としてはそれどころではなく、さっそく手がかりとなる希林先生を探しに行こうとするのですが――現代から制服を着たきり雀だったとわはいいとして、後の二人はさすがにいかがなものか、と思っていたら大ママがしっかりカムフラージュ用の服を用意してくれました。微妙に年配コートのせつなはともかく(でも似合う)、ほとんどドテラを着ただけのもろはは、冬の夜にコンビニに出かけるズボラな女の子みたいでいかがなものか。いや、それはそれでもろはそのままか……

 何はともあれ久々の聖ガブリエル学園で希林先生を見つけたとわですが、希林先生は今になって(セクハラまがいに至近距離でジロジロ見て)とわが半妖だと気付いた様子。しかも妖霊星が近づいているのが自分のせいというのも気付いていませんでした。さっそくこの「異物」を排除しようと、相変わらずのところを見せるせつなともろはですが、しかし希林先生がちょうど襲ってきた妖怪を倒してくれたのを見て、ちょっと認識を改めるのでした。
 そして希林先生の方も、人手不足のところに待望の手下がやってきた(この辺、微妙に本体風味)と喜び勇み、妖霊星が地球の裏側に行っている間に、先に地上に落ちてきた欠片から出現した妖怪退治を頼みます。

 その場所とは、どこかで見たようなアリーナ――ちょうど今晩、6x'sというどこかで聞いたようなアイドルグループのライブが行われるこの場所ですが、しかしこのライブには、バイオリニストである、草太パパの奥さんの萌ママがゲスト出演していたのであります。
 萌ママに訴えてライブを中止しようとしてももちろんうまくいくはずなく(というか超マイペースなので話聞いてない)、でたとこ勝負で三姫は戦いに臨むことになります。

 そしてライブ中にメンバーの一人・ジュリアンくん(覚えている人はほとんどいないと思いますが、第6話の猫妖怪の話で、先祖らしき人物・寿庵が登場したキャラ。一発ネタかと思ったら、まさかの本人登場)の前に現れた巨大鬼を、三姫は場外におびき出して対決するのでした。
 破魔の矢、所縁の断ち切り、さらには斬星剣(吸妖魂の根)まで持っている三姫の活躍に、希林先生は大喜び。ちなみに希林先生も、手のひと振りで雑魚妖怪の群れを消し飛ばすくらいの強キャラであります。

 そういえば、その本体である麒麟丸はと思えば、前回ラストで時の風車に飛び込んだと思いきや結局先に進めず、そこに現れた(死んだとは思っていませんでしたがさすがにツラそうだった)理玖に、りおんを奪い返される始末。最後の手段で希林先生にテレパシーで呼びかけ、自分を導くように命じますが無視――と、往年の奈落並みに、自分の分身たちが言うことを聞かない状態です。というより、理玖も希林先生もいいひとすぎるのを見ると、むしろ麒麟丸の方に変な部分が残ったのでは、という気も……

 何はともあれ、やっぱり妖霊星が落ちてくるのは今晩、というわけで、気付いてみればほとんど視界一杯に迫っていた妖霊星。もっとも、三姫は飛べないし、軌道上まで届く攻撃は持っていない――というわけで、むしろ妖霊星が地上に近づく今しかチャンスはありません。そして手下三人が加わってノリノリの希林先生と三姫は、東京タワーの上から妖霊星に対峙し――という、現代伝奇もの感溢れる場面で次回に続きます。


 またもや作画は微妙でしたが、希林先生の面白キャラぶりに救われた印象がある今回。本作はずっと戦国時代が続いていたので、やはり現代が舞台となると新鮮です。
 しかしバイオリンの演奏があってアトラクション的一幕のあるアイドルコンサートとは……


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2022.02.06

『半妖の夜叉姫』 第42話「崩壊する時の風車」

 現代に迫る妖霊星を破壊するべく時の風車に向かい、殺生丸の母と対面した三姫。しかしその時、時を越え損ねた怨念の集合体である冥道丸が襲いかかる。一方、麒麟丸を討とうと現れたりおんと理玖に対し、麒麟丸は斬星剣に秘められた恐るべき秘密を明かし、りおんに新たな体を用意すると語る……

 全般的に低調な作画を、声優の力演で補ったような回でした……

 令和の時代に迫る妖霊星を迎撃するべく、時の風車のもとに向かった三姫(と邪見、竹千代)。そこにおわすは殺生丸のご母堂様――彼女から見ればとわとせつなは自分の孫、そしてもろはは自分の恋敵の孫という微妙な顔ぶれですが(もろはの紹介する時、声が小さくなる邪見がおかしい)、そこに突然現れたのは、時を超えようとして失敗した怨念の集合体だという冥道丸であります。
 彼を止めるどころか面白がっているご母堂様ですが、この冥道丸、いきなり出てきたゲストキャラの割には妙に強敵――パワーアップした三姫総掛かりで互角の状態であります。

 しかしそこでもろはが新たに手に入れた破魔の矢を放ったら、ほとんど顔のみ残して吹き飛とばすというエラい威力に見ているこちらもびっくり。ついにこの子にも晴れ舞台が、と思ったら矢切れで攻め手がなくなるのはやっぱり――という感じですが、この時にせつなの眼は、冥道丸の体から無数の赤い糸が出ているのを見るのでした。
 もう一度冥道丸の動きを止めるべく、斬星剣で冥道丸の妖気を吸い取ろうとするとわですが、ご母堂様はその様に、あれは天津甕星の剣と気付き(そういえばそんな名前でした)眉を顰めるのでした。その理由は……

 一方、前回娘にガン無視されたかと思いきや、その後もしつこく話しかけていた麒麟丸は、妖霊星の再来のことを語って気を引きます。ここで理玖に、お前が骨喰いの井戸に右腕を捨てたのが悪いと言い出す麒麟丸ですが、これは現代の希林先生が情報を伝えてきたので麒麟丸が現代に向かおうとしていることを言っているのか、あるいは希林先生の存在が妖霊星を招いたと言っているのか――普通は前者だと思うのですが、しれっと妖霊星は妖力に引き寄せられて現れると語っているあたり、後者のようにも聞こえます(時代樹の精霊が、希林先生を排除しろと言ったのにも符号します)。
 しかしこれは明らかに言いがかり。いい加減に鬱陶しい麒麟丸ですが、りおんに新しい体を用意してやると、とんでもないことを言い出します。しかもそれはとわの体――実は斬星剣は妖気を吸収しすぎれば、持ち主の魂を奪ってしまうというまさしく諸刃の剣。前回とわが魂を失って倒れたのは、麒麟丸の妖気を吸い取ったためかと思いきや、もともとそういう仕様だったというのです。

 もう放っておけば色々な意味で碌なことをしない麒麟丸を討つべく、二人がかりで攻撃を仕掛けるりおんと理玖。さすがに身内相手には明らかに手を抜いて対応する麒麟丸ですが、しかしそれだからこそ生まれた隙を突いて、りおんの一撃が麒麟丸の喉に――というギリギリのところで、「父を殺してみよ!」と凄まれて手を止めてしまったりおん(この時の、「ほぇ?」とも「は?」ともつかぬ戸惑いの声の演技が絶品)。
 彼女の危機と見て飛び込んだ理玖ですが、しかしそれが災いし、麒麟丸が逸したりおんの得物はそのまま理玖の体を貫くことに――そのまま地に付した理玖の姿に、愕然として泣き崩れるりおん(それまでの勇ましさが嘘のように子供のように泣きじゃくる演技がまた絶品)を捕まえ、麒麟丸は飛び去ります。

 さて、時の風車の前では、とわが斬星剣で冥道丸の妖気を吸い取り、現れた赤い糸をせつなが所縁の断ち切りで切ってフィニッシュ。時代に選ばれなかったのではなく、分不相応だったのですね――と解脱したかのように冥道丸は消滅するのでした。
 そして現代に向かおうとする三姫――というよりとわに、斬星剣に仕掛けられた呪いの存在を忠告するご母堂様ですが、とわは誰に似たのか頑固さを発揮してこの先も使い続ける宣言。そして回り始めた時の風車に飛び込む三姫ですが――サブタイトルに心配していたものの、予告を見るに何事もなく三人とも現代に向かった模様です。
 しかし麒麟丸がその後を追って何か放ちながら時の風車に飛び込んだのが悪かったのか、何やら妖怪たちがワラワラ現れて――というところで次回に続きます。


 今まで何だかいまいち理屈がわからず、記事でも触れかねていた、麒麟丸が現代に行くと過去の世界が末法末世となって滅びるという話――今回のラストを見るに、時空やらなにやらのバランスが崩れて他所の世界から妖怪が湧いてくるということなのでしょうか。
 とするとやる気満々だった弥勒とか珊瑚、そして犬夜叉とかごめの出番は、戦国時代での雑魚退治なのか――まあ、一緒に活躍するのも限度があるから仕方ないかもしれません。


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『半妖の夜叉姫』 第29話「りおんという名の少女」
『半妖の夜叉姫』 第30話「退治屋翡翠」
『半妖の夜叉姫』 第31話「竹千代の依頼」
『半妖の夜叉姫』 第32話「七星の小銀河」
『半妖の夜叉姫』 第33話「魔夜中の訪問者」
『半妖の夜叉姫』 第34話「決戦の朔(前編)」
『半妖の夜叉姫』 第35話「決戦の朔(後編)」
『半妖の夜叉姫』 第36話「永遠にない場所」
『半妖の夜叉姫』 第37話「是露の想い」
『半妖の夜叉姫』 第38話「東雲の麒麟丸」
『半妖の夜叉姫』 第39話「親子の再会」
『半妖の夜叉姫』 第40話「三姫の脱出」
『半妖の夜叉姫』 第41話「阿久留のかざぐるま」

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2022.01.30

『半妖の夜叉姫』 第41話「阿久留のかざぐるま」

 殺生丸を救うために魂が尽きたとわだが、阿久留の不思議な力に助けられる。そこに現れた時代樹の精霊は、現代に妖霊星が落ちることを告げ、その撃破を命じる。一方、犬夜叉一家は再び現れた麒麟丸と激闘を繰り広げ、撃退に成功する。三姫は時の歯車を動かすため、殺生丸の母のもとに向かうが……

 前回、魄を蝕まれる殺生丸を救うために斬星剣を使ってその妖気を吸い取ったものの、今度は自分がダウンしてしまったとわ。邪見曰く、これは魂を使い果たした、つまり精神活動が止まってしまったとのことですが――あまりにショッキングな展開にりんが凍りついていたところに、神出鬼没の阿久留が現れます。そしてその手の風車から何やらキラキラがとわに向かって放たれたと思えば、なんととわは復活。どういう理屈かさっぱりわかりませんし(時間を戻したとかそういう?)、都合の良すぎる展開ではありますが、これ以上悲しいすれ違いも辛いのでOKでしょう。
 そしてそこに現れた時代樹の精霊は、阿久留が三姫を認めたこと、阿久留の力で時を超え令和の時代(と具体的に言うのが妙におかしい)に落ちる妖霊星を排除せよと命じるのでした。そしてもう一つ、その時代には存在しない異物(=希林先生)も――そしてこの事態を前に、ようやく家族が揃ったにもかかわらず、りんは気丈に娘たちを送り出すのでした。しかし娘たちが行ってから涙を流すりんに、殺生丸(まだ目の辺りがシャドウ)は、心なしか口元がほころんでいるような……

 さて、時代樹の中が色々大変になっているとは知らず、親子仲良く並んで骨喰いの井戸に腰掛けていた犬夜叉一家。何気にここが二人の馴れ初めの場所などとかごめがのろけ、犬夜叉が赤面したりと仲の良いところを見せたと思えば、先日産霊山の結界でニアミスしてから作っていたと、かごめがもろは用の弓をくれたりと、これまでの分を取り戻すような微笑ましさです。特にこの弓、犬夜叉の髪の毛と、犬の大将の墓で拾ったあれこれを材料にしているとのことで、ようやくもろはにもパワーアップ武装が――?
 と思っていたら、よせばいいのに戻ってきた麒麟丸。しかしもちろん三人が怯むはずもありません。犬夜叉が風の傷に金剛槍破、爆流破と懐かしの技のオンパレードを放てば、かごめは元祖破魔の矢を、そしてそして文字通り一矢報いる時が来た! とばかりにもろはが新たな弓から放った一撃は、麒麟丸をして思わず躱してしまうほどの威力を見せます。さらに合体攻撃を放つ犬夜叉一家に、麒麟丸はもはや女子供でも手加減はせぬと怒り心頭ですが――単に犬の大将に切所王丸、犬夜叉と一族が立ちふさがるからではなく、むしろ戦いの場に娘を伴った末に失い、そして甦ったその娘からも拒まれ続けている彼にとって、あまりに眩しい光景だからでは、というのはひねくれた見方でしょうか?

 と、そこに殺生丸のご母堂様のもとに向かうというとわとせつな(あと邪見)が現れ、阿久留はもろはの腕も引きます。そしてここからが犬夜叉の見せ場――もろはには「仲間なんだろ?」の言葉をかけて先に行かせ、追おうとする麒麟丸に対しては、鉄砕牙で行く手を阻みながら「娘には指一本触れさせねえぞ」と言い放つ――先輩戦士として、そして父として最高に輝いている犬夜叉にもう大満足。その気迫に押されたわけではありませんが、麒麟丸もようやくその場から去るのでした。
 ちなみに帰り際に麒麟丸が姿を見せたのは理玖とりおんの前。ちょうど作り物の体に限界が来て倒れたりおんに魄を与え、話でもしていこうと誘う麒麟丸ですが、娘はガン無視――さすがにちょっと可哀想になってきましたが、彼がりおんも現代に連れて行こうとしているのには如何なる意味があるのか?

 一方、弥勒のもとには退治屋装束の珊瑚(若すぎるので真面目に娘が退治屋装束着たのかと思いました)が現れ、また扇谷弾正と愛矢姫に呼ばれた琥珀と翡翠たちは麒麟丸討伐を命じられた末に、まさかの菊十文字を与えられることに――菊十文字といえば、とわの初期武装、ただし偽物だったのであっさり折れましたが、しかしこれは本物。既に斬星剣を持っているとわに果たして必要かはわかりませんが、これまた気になる登場です。

 そして今回のアバンとラストは現代の風景――日暮家のじいちゃんが何やら不穏な気配を感じているものの、人々は妖霊星の存在に全く気づかず暮らす中で、ただ一人、希林先生のみは、戦国時代に絶滅したはずの屍舞烏の出現など、異変が少しずつ日常を蝕んでいることに気付くことに……


 というわけで、冒頭からラストに至るまで、風雲急を告げるという言葉がぴったりの激動の展開の数々。いよいよ物語の最終ゴールは見えたかに思えますが、それまでにまだまだ一山二山はありそうです。

 そして残念ながら今回は顔出しのみで声なしのご母堂様ですが、次回予告でしっかり喋っていて安心。しかしいきなり登場する新キャラ・冥道丸とは!?(死神鬼の縁者っぽい印象がありますが……) 次回も期待大です。


関連サイト
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2022.01.25

「鬼滅の刃」遊郭編 第六話「重なる記憶」/第七話「変貌」

 ヒノカミ神楽で堕姫を追い詰めたものの体力が付きた炭治郎に代わり、鬼として覚醒した?豆子が堕姫を圧倒する。しかし?豆子は暴走して人に襲いかかり、炭治郎は必死の思いで彼女を押さえるのだった。そこに現れた宇髄は一撃で堕姫の首を落とすが、その体から堕姫の兄・妓夫太郎が出現し……

 堕姫との対決が本格的に始まり、バトル中心の展開になるので数話分まとめて感想を書こうと思っていたら、もう大変なことになってきたアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』。基本的にストーリーや描写は原作そのままですが、その間を埋める演出が――特にアクションが、尋常ではないクオリティなのですから。

 まず第六話「重なる記憶」で描かれるのは、前話から引き続く炭治郎と堕姫の戦い。ヒノカミ神楽によって善戦する炭治郎に対し、堕姫は蚯蚓帯を体に戻してパワーアップ(というより元々の状態に戻った)。そして体中から放つ帯によって周囲の人といわず建物といわず切断して周囲は阿鼻叫喚の巷に。炭治郎も周囲の人間を庇って深手を負ったところで、勝ち誇って周囲の人々を蔑む堕姫ですが――ここで炭治郎の怒りゲージが振り切れて覚醒モードに入り、先程とはうって変わったヒノカミ神楽で堕姫を圧倒……

 と、まずこのシーケンスの縦横無尽に襲いかかる帯vsそれを迎え撃つ刀のアクションが凄まじいのですが、しかし何と言ってもテンションがあがるのは、ここで炭治郎の言葉とヒノカミ神楽に反応して、堕姫の中の無惨の記憶が反応するくだり。そこで登場する「剣士」――その名と素性はまだ明かされませんが、見るからに只者ではないその剣士を演じるのは井上和彦! 大ベテランながらいつになってもイケメンなその声は、納得のキャスティング。この先(本当に相当先ですが)の本格的な出番が楽しみです。

 さてこの後、加減を知らずに全力疾走しすぎて死にかけた炭治郎に代わり、第1話以来の出番となったのは?豆子ですが、ここからはvs炭治郎とは異なる意味で限界突破した戦い。帯で容赦なく脚を、胴を斬られた?豆子――と思いきや、彼女が瞬時に回復して堕姫の頭を蹴り潰す場面は、双方がそれぞれに美しいだけに、一層目を背けたくなるような凄まじさがあります。

 そしてその凄惨な戦いは続く第七話「変貌」でピークになります。脚を、腕を、そして首を切断されながらも、自らの血で体のパーツを繋ぎ、逆に爆血で堕姫の半身を焼き尽くす――この時、一瞬ながら原作以上に堕姫のトラウマを明確に描いているのが印象に残ります――という、鬼同士ならではの戦い、いや潰し合いは、残酷なシーンが少なくない本作においても屈指の、深夜枠でなければ絶対無理な描写であったと言うべきでしょうか。
(一方で、ぶっ飛ばした堕姫に空中で追いついて追い打ち攻撃などという、ドラゴンボールばりのアクションが飛び出すのも面白い)

 しかしこの直後、エキサイトしすぎて、近くにいた怪我人に襲い掛かりそうになる?豆子は何度見てもアウトで、話のわかる宇髄でなければその場で退治されてもおかしくない状況そうしたら義勇は切腹なわけで……
 それはさておき、ここで炭治郎が必死に?豆子を押さえている最中に飄然と現れ、炭治郎にツッコミを入れたのは、ようやく真の戦場に駆けつけた音柱・宇髄天元その人。堕姫の帯を一瞬の内に全断し、堕姫を目の前にしながら炭治郎と会話する余裕ぶり――と思いきや、堕姫も気づかぬうちに首を落としていた、というのは、わかりやすくも見事な強豪ムーブというべきでしょう。

 そしてここから堕姫がこれまでの悪女キャラから一転、お兄ちゃん連呼の妹キャラに変貌するのには驚きますが、ついにここで真の上弦の陸というべき妓夫太郎が出現。暗がりに転がった堕姫の胴体から出現する際の禍々しさ、そして今度は宇髄が一瞬のうちに斬られるという展開は、次から次へと目まぐるしく状況が変わるこの戦いの中でも、やはり強烈なインパクトがあります。

 しかしここからが宇髄の宇髄のアクションの真骨頂。青龍刀並みのサイズの二刀(鎖で繋がった点を活かしたアクションが映える)に体術、さらに爆破まで投入してのアクションは、気合の入った作画に支えられてまさに派手派手。これに対する妓夫太郎の方も、血のブーメランというべき血鬼術をCGで描くのは定番といえば定番ですが、宙で不気味に蠢く様は出色といえます。
 何よりも、原作では動きが凄まじすぎて一瞬一瞬を切り取った画的に感じられた部分を、その合間を補って更に凄まじいアクションとして見せるという、このアニメならではの魅力を、この第七話ラストの攻防からは存分に味あわせていただきました。

 しかし恐ろしいことにこれはまだ序の口、続く第八話ではさらに凄まじいアクションが――と言いたいところですが、さすがに3話分を一気に紹介するのは無理があったので、稿を改めたいと思います。


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 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第10巻 有情の忍、鬼に挑む!

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 『鬼滅の刃』 第二十二話「お館様」
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 『鬼滅の刃』 第二十五話「継子・栗花落カナヲ」
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 『鬼滅の刃 無限列車編』 第一話「炎柱・煉獄杏寿郎」

 『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(その一) 真のクライマックスに燃える男!
 『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(その二) 理不尽な結末の先の希望と人間肯定

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