2023.11.12

12月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 つい先日までびっくりするくらいの陽気だったりしましたが、急に寒くなって何だかんだで11月らしくなりました。11月ということは来月は12月で今年も終わり――つまりは今年の新刊情報もこれでラスト。12月の時代伝奇アイテム発売スケジュールであります。

 はたしてどれくらいアイテムがあるかとドキドキしてみれば、特に小説がなかなか充実している印象の12月。新刊では、何といっても瀬川貴次の新作『もののけ寺の白菊丸(仮)』(集英社オレンジ文庫)が気になるところです。

 また、シリーズものの新作では『闇試し 古道具屋皆塵堂』(輪渡颯介 講談社文庫)、一ヶ月発売が延期になったらしい『編み物ざむらい 二 一つ目小僧騒動』(横山起也 角川文庫)、『十手笛おみく捕物帳』第2巻(田中啓文 集英社文庫)が注目です。
 一方、上田早夕里の『播磨国妖綺譚』は、第一作が『あきつ鬼の記』として文庫化されるのと同時に、第二作『伊佐々王の記』が単行本で刊行されます。

 また、海外ものでは三部作シリーズの最終巻『メアリ・ジキルと囚われのシャーロック・ホームズ』(シオドラ・ゴス 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)が登場。一方、『水滸伝 ビギナーズ・クラシックス中国の古典』(小松謙 角川ソフィア文庫)は、ビギナーズ? と一瞬思いましたが、著者名を見て納得。これは期待してよいでしょう。

 その他、文庫化・復刊では、室町忍者ものの名品『阿修羅草紙』(武内涼 新潮文庫)、そして『名月一夜狂言 人形佐七捕物帳ミステリ傑作選』(横溝正史 創元推理文庫)が要チェックです。


 一方、漫画の方は比較的点数が少なめですが、新登場の『フォーロン・ホープ~警視庁抜刀隊戦記~』第1巻(TAKUMIサメ男&井出圭亮ほか 小学館クリエイティブヒーローズコミックスわいるど)のほか、『信長のシェフ』第36巻(梶川卓郎 芳文社コミックス)、『真剣にシす』第2巻(盛田賢司&河端ジュン一・西岡拓哉 リイド社SPコミックス)、『勇気あるものより散れ』第5巻(相田裕 白泉社ヤングアニマルコミックス)、『神様の用心棒』第2巻(冬野ケイ&霜月りつほか KADOKAWA角川コミックス・エース)、『イクサガミ』第3巻(立沢克美&今村翔吾 講談社モーニングKC)が登場。
 11月発売予定だった『明治浪漫綺話』第6巻(音中さわき KADOKAWAあすかコミックスDX)は12月となったようです。
(にしても明治ものが多い?)

 また、海外ものでは何といっても青崎有吾原作の『ガス灯野良犬探偵団』第1巻(松原利光 集英社ヤングジャンプコミックス)が気になるところ。そのほか、『白花繚乱 白き少女と天才軍師』第2巻(栗美あい&田中芳樹 秋田書店プリンセス・コミックス)と、ようやく単行本化の『エイハブ』(猿渡哲也 集英社ヤングジャンプコミックス)があります。

 最後に復刊ですが、偶然ながら妖狐ものが二作品。『戦国妖狐』新装版 第3・4巻(水上悟志 マッグガーデンBLADEコミックス)と、完全版『白妖の娘』上巻+下巻(木原敏江 集英社愛蔵版コミックス)。特に隠れた(?)名作の『白妖の娘』は必読です。


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2023.10.08

11月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 ようやく秋らしくなってきたと思えば、もう今年も残りわずか。少しにぎやかになってきた11月の時代伝奇アイテム発売スケジュールであります。

 さて、11月の小説でまず注目は、久々に第三弾登場の大正民俗伝奇ミステリ『奇譚蒐集録 鉄環の娘と来訪神』(清水朔 新潮文庫)。今回もタイトルからして民俗味濃厚であります(今回はできるだけ不幸な人が減りますように……)
 また、シリーズものの新巻では、『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 抹茶の香る密室草庵』(山本巧次 宝島社文庫)、『日雇い浪人生活録 15 金の蠢動』(上田秀人 角川春樹事務所時代小説文庫)があります。

 また、単行本では『松籟邸の隣人 一の巻 青夏の章(仮)』(宮本昌孝 PHP研究所)が登場。戦国時代を得意とする作者ですが、本作は何と少年時代の吉田茂を主人公にしたミステリということで、非常に気になります。

 また復刊・文庫化では、気がつけばスーパーファンタジー文庫分も残り二冊となった『暗夜鬼譚 綺羅星群舞(仮)』(瀬川貴次 集英社文庫)のほか、『もういちど』(畠中恵 新潮文庫)が登場です。
 また、海外作品ではクトゥルー・ケースブックの完結編『シャーロック・ホームズとサセックスの海魔』(ジェイムズ・ラヴグローヴ 早川書房ハヤカワ文庫FT)が要チェックであります。


 漫画の方は、再アニメ化も快調な『るろうに剣心』の北海道編第9巻(和月伸宏&黒碕薫 集英社ジャンプコミックス)が登場。そのほか、文庫では『るろうに剣心 アナザーストーリーズ』(和月伸宏 集英社文庫コミック版)が刊行されますが、これは完結後に発表された作品が収録されるのでしょうか?
 そしてアニメ化といえば、この先アニメ化を控えた『戦国妖狐』新装版 第1巻・第2巻(水上悟志 マッグガーデンBLADEコミックス)、『青のミブロ』第11巻(安田剛士 講談社コミックス)、『逃げ上手の若君』第13巻(松井優征 集英社ジャンプコミックス)も刊行されます。

 また、ついに書籍版と電子版が同時発売?(あるいは書籍版が先?)の『あおのたつき』第12巻(安達智 コアミックスゼノンコミックスBD)、ずいぶん待った気がしますが『明治浪漫綺話』第6巻(音中さわき KADOKAWAあすかコミックスDX)も登場です。

 そのほかにも、続巻では『鬼切丸伝』第18巻(楠桂 リイド社SPコミックス)、『応天の門』第18巻(灰原薬 新潮社バンチコミックス)、『化け狐の忠心』第2巻(清音圭 白泉社花とゆめコミックス)、『前田慶次かぶき旅』第14巻(出口真人&原哲夫・堀江信彦ほか コアミックスゼノンコミックス)、『ZINGNIZE』第10巻(わらいなく 徳間書店リュウコミックス)、『無限の住人~幕末ノ章~』第9巻(陶延リュウ&滝川廉治ほか 講談社アフタヌーンKC)、『MAO』第18巻(高橋留美子 小学館少年サンデーコミックス)、『岩元先輩ノ推薦』第7巻(椎橋寛 集英社ヤングジャンプコミックス)、『天上恋歌~金の皇女と火の薬師~』第8巻(青木朋 秋田書店ボニータ・コミックス)が楽しみなところです。

 そして最後に、原作を踏まえつつ、全く異なる大団円を迎えた『暁の犬』第6巻(高瀬理恵&鳥羽亮 リイド社SPコミックス)は見逃せません。


 と、夏枯れを越えて実りの秋という印象の11月であります。



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2023.09.10

10月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 ほとんどこちらを潰しにかかっているような勢いの暑さがまだ続いていますが、しかし今年ももう後半戦。新刊情報も残すところあと三回――というわけで10月の時代伝奇アイテム発売スケジュールであります。

 しかしこの数ヶ月同様、どうにも寂しい状況の10月。とはいえ、その中にもインパクトのある作品がもちろんあります。

 まず文庫では、タイトルから想像もつかない展開に驚かされた横山起也『編み物ざむらい』の第2巻が登場。そして驚きといえば、あの展開で続編が!? の山本巧次『岩鼠の城 定廻り同心 新九郎、時空を超える』も楽しみなところです。
 その他文庫の新刊は菊川あすか『大奥の御幽筆 永遠に願う恋桜』、復刊・文庫化では風野真知雄『新・若さま同心徳川竜之助  二 化物の村』〈新装版〉、冲方丁『剣樹抄 不動智の章』そしてここのところ新装版が続く井上祐美子『朱唇 中華妓女短篇集』くらいですが……

 しかし、単行本の方で、ある意味最大の衝撃が待ちかまえます。久々の刊行となる夢枕獏『陰陽師 烏天狗ノ巻』には、雑誌掲載時点で一部の読者を狂喜(狂気)させた「梅道人」を収録。単行本派の反応が楽しみです。
 また、18世紀の英国軍艦を舞台としたミステリ、岡本好貴『帆船軍艦の殺人』も気になるところです。


 さて、漫画の方はなんといっても、ユニークな警察漫画であった『ハコヅメ 交番女子の逆襲』の泰三子が、今度は警察の生みの親を描く『だんドーン』第1巻が最も注目でしょう。
 そのほか、どちらもパラレルが入っている(特に後者)黒船ものの新作が何故か二作、リョマジ『クロフネ・オブ・ザ・デッド』第1巻と加藤文孝『空来船打払令』第1巻がありますが、ちょっとこのブログで紹介するかどうかは未定です。

 そのほか続巻では、ゆうきまさみ『新九郎、奔る!』第14巻、士貴智志『どろろと百鬼丸伝』第9巻、かどたひろし『勘定吟味役異聞』第14巻、貘九三口造『ABURA』第3巻が登場。
 また、さいとうちほの『輝夜伝』第13巻と『VSルパン』第7巻が同時刊行、そしてついにクライマックス突入の藤田和日郎『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』第6巻が楽しみなところです。



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2023.08.16

9月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 今年の新刊紹介も、今回を入れてあと四回。残すところあとわずかですが、正直なところ来月は新刊点数自体もかなり少ない印象があります。だからというわけではありませんが、単行本の新刊も交えて紹介する9月の時代伝奇アイテム発売スケジュールです。

 というわけで本当に数の少ない新作ですが、文庫の方で一番の注目は、『無情の琵琶 戯作者喜三郎覚え書』(三好昌子 PHP文芸文庫)。京・芸術・妖・謎と、作者らしい作品のようです。
 そのほかシリーズものの新作としては、『隠密鑑定秘禄 三 下達』(上田秀人 徳間文庫)と『唐国の検屍乙女 水都の紅き花嫁』(小島環 講談社タイガ)が。後者は前作が見る人が見れば――だっただけに、どうなっているか気になります。

 また、復刊文庫化は、『鷹の城』(山本巧次 光文社文庫)と『二十面相 暁に死す』(辻真先 光文社文庫)がオススメ。『青天 包判官事件簿』(井上祐美子 中公文庫)は、先に復刊された『桃花源奇譚』に続いての登場です。


 一方、単行本の方は、数は少なくとも一騎当千という印象。作者久々の新刊である『風と雅の帝(仮)』(荒山徹 PHP研究所)は、タイトル的に――ですが、それだけに何が飛び出すかわかりません。
 また、『真田の具足師』(武川佑 PHP研究所)は、タイトルのとおり、具足師を主人公にしつつ真田を描くという趣向で、デビュー以来ユニークな戦国ものを描いてきた作者らしい作品になりそうです。
 そして『剣、花に殉ず』(木下昌輝 KADOKAWA)は、宮本武蔵最後の決闘相手という説もある雲林院弥四郎を描く物語。作者はこれまで二つの長編で宮本武蔵を描いてきましたが、そちらに連なる作品になるのか? 大いに気になります。

 もう一作、『百鬼園事件帖』(三上延 KADOKAWA)は、タイトルのとおりあの百鬼園先生を主人公としたミステリということで、これは期待せずにはいられません。


 さて、漫画の方はいつも通り時代順に挙げれば、『逃げ上手の若君』第12巻(松井優征 集英社ジャンプコミックス)、『新九郎、奔る!』第14巻(ゆうきまさみ 小学館ビッグコミックス〔スペシャル〕)、『青のミブロ』第10巻(安田剛士 講談社コミックス)、『ツワモノガタリ』第8巻(細川忠孝&山村竜也 講談社ヤンマガKCスペシャル)、『警視庁草紙 風太郎明治劇場』第13巻(東直輝&山田風太郎ほか 講談社モーニングKC)という状況。
 数が少ない中で、半分以上の作品に顔を出している斎藤一は何者なのでしょう。

 そのほか、海外を舞台とした作品では『千年狐~干宝「捜神記」より~』第10巻(張六郎 KADOKAWAMFコミックスフラッパーシリーズ)、『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』第5巻(藤田和日郎 講談社モーニングKC)が楽しみなところです。


 と、数についてはネガティブなことばかり書いてしまった気がしますが、内容自体はかなり楽しみな作品が並ぶ9月であります。



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2023.08.05

「架空史大年表 妖異の世界史」更新(朝松健 一休もの年表を掲載しました)

 このブログのほかに運営している、史実とフィクション織り交ぜ年表サイト「架空史大年表 妖異の世界史」を更新しました。今回のメインは、『ぬばたま一休』『一休どくろ譚』など、朝松健の一休ものの作品年表です。現時点までの44作品を設定年代順にまとめ、同じ年に起きた史実を記載しています。
(作中に年代が明記されていないものは、作中の描写から推定しています)

 当然ながら一休だらけの年表で、我ながら作ってみて圧倒されましたが、実に四半世紀近くに渡り書き継がれている室町伝奇の世界に分け入るご参考になれば幸いです。

 その他、年表に追加した作品は以下のとおりです(年代順)
『妖女伝説 砂漠の女王』『六四五年への過去わたり』『火の鳥 羽衣編』火の鳥 乱世編』『揺籃の都』『一休魔仏行』『室町妖異伝』『火の鳥 異形編』『エクアドール』『殺生伝』『首ざむらい』『隠密鑑定秘禄』『紅灯のハンタマルヤ』『ムザンエ』『大江戸奇巌城』『コルトM1847羽衣』『無限の住人 幕末ノ章』『異人の守り手』『勇気あるものより散れ』『異次元の色彩』『シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪』『カルパチア綺想曲』『花菱夫妻の退魔帖』『月光条例』

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2023.07.09

8月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 今年も早くも下半期に突入――と驚く間もなく8月の新刊情報が公開されて、時間の流れの速さに驚かされます。8月は(8月も)点数自体はあまり多くないのですが、しかしもちろん注目の作品は少なくありません。というわけで8月の時代伝奇アイテム発売スケジュールです。

 文庫の新刊は正直なところ数は少ないのですが、なんといっても最も注目すべきは平谷美樹『賢治と妖精琥珀』。岩手を題材とした作品が多い作者にとって、宮沢賢治はなるほど――というチョイスですが、しかし妖精琥珀とは一体? かなり意表を突いた作品の予感です。
 またもう一点、妖怪もので大活躍の峰守ひろかず『少年泉鏡花の明治奇談録』も、タイトルの時点で胸躍ります。

 一方、文庫化・復刊では、やはりなんといっても宮本昌孝『天離り果つる国(仮)』上下巻。相当の大部ですが、あまりの波瀾万丈ぶりに分量など感じている間もない快作です。
 また、7月にシリーズ第二作が刊行される蝉谷めぐ実『化け者心中』も文庫化されるので、未読の方はぜひ。
 その他、ミステリでは夕木春央の痛快作『サーカスから来た執達吏』がありますし、廣嶋玲子の古代もの『火鍛冶の娘』も要チェック。また正編が完結した風野真知雄『新・若さま同心 徳川竜之助 1 象印の夜』はやはり新装版が登場です。


 一方、漫画の方は、戦国ものの少女漫画である清音『化け狐の忠心』第1巻、山根和俊&神楽坂淳の異色コンビがあのヒーローを描く『黄金バット 大正髑髏奇譚』第1巻の二作が新登場。

 その他、続巻としては松浦だるま『太陽と月の鋼』第7巻、安達智『あおのたつき』第11巻、山崎峰水&大塚英志『くだんのピストル』第4巻、赤名修『賊軍 土方歳三』第9巻、東直輝『警視庁草紙 風太郎明治劇場』第12巻、坂ノ睦『明治ココノコ』第5巻など、幕末・明治ものが強めの印象です。
 また、高橋留美子『MAO』第17巻と椎名高志『~異伝・絵本草子~ 半妖の夜叉姫』第5巻が同時刊行されます。


 というわけでちょっとアイテム少な目なのは残念な8月。夏休みは過去の名作に触れ直す機会かもしれません。



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2023.06.10

7月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 今年も後半戦に突入する7月の新刊情報が公開されました。残念ながら7月も新刊の点数は今ひとつ――ではありますが、しかし見逃せない作品が幾つもあります。というわけで、7月の時代伝奇アイテム発売スケジュールであります。

 まず文庫新刊で気になるのは、タイトルの時点で「えっ?」となる瀬川貴次『ばけもの厭う中将(仮)』。一体中将に何が起こったというのか……
 そして7月からのアニメ放送に合わせてきっと来ると思っていた青崎有吾『アンデッドガール・マーダーファルス』第4巻も必読でしょう。

 そのほかの新作では泉ゆたか『幽霊長屋、お貸しします(仮)』、上田秀人『高家表裏譚 7 婚姻』が気になるところです。
 一方、文庫化では、セカンドシーズン突入で盛り上がるシリーズ第7弾、神永学『火車の残花 浮雲心霊奇譚(仮)』に注目。その他、木下昌輝『応仁悪童伝』、畠中恵『あしたの華姫』、岡田秀文『首イラズ 華族捜査局長・周防院円香』が登場です。

 さらにジェイムズ・ラヴグローヴのホームズ×クトゥルーもの第2弾、『シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪』も楽しみなところです。


 一方、漫画の方では、何といっても一番の注目作は永尾まる『猫絵十兵衛 御伽草紙』第23巻。連載が長いこと休止していたこともあり、非常に気になっていたのですが、このたびめでたく復活であります。
 また、新登場ではモコ『化け絵 石燕妖怪噺』第1巻が気になるところです。そして同じく新登場のコミカライズ、山田リューセイ『REVENGER』第1巻は、発売日が平松伸二『大江戸ブラック・エンジェルズ』第4巻と同日なのですが、これは偶然ですよね――?

 また、久正人『カムヤライド』第9巻、立沢克美『イクサガミ』第2巻も大いに楽しみなところ。その他、梶川卓郎『信長のシェフ』第35巻、出口真人『前田慶次かぶき旅』第13巻、小山ゆう『颯汰の国』第15巻、東直輝『警視庁草紙 風太郎明治劇場』第11巻、森秀樹『ビジャの女王』第4巻も注目です。

 そのほか、真じろうのファンタジー武侠『剣仙ヒョウ局 ケンセンヒョウキョク』第3巻は完結巻とのこと。


 というわけで、新刊は少ないですが楽しみは多い7月です。



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2023.04.09

5月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 ゴールデンウィーク明けとなる5月は、一週間分日数が少ないせいか、発行点数がいささか少ないのですが、文庫小説を中心になかなか頑張っている印象。とういうわけで5月の時代伝奇アイテム発売スケジュールです。

 その文庫小説で何といっても真っ先に目を惹くのは田中啓文『誰が千姫を殺したか 蛇身探偵豊臣秀頼』。インパクト満点の副題だけでなく、内容の方も相当個性的なことは間違いないでしょう。
 また三好昌子『室町妖異伝 あやかしの絵師奇譚』は、同じ新潮文庫で先に刊行された『幽玄の絵師 百鬼遊行絵巻』との関係が気になります。

 また、白川紺子『花菱夫妻の退魔帖』第2巻(仮)を筆頭に、明治・大正・昭和ものも、柊一葉『帝都の隠し巫女』、香月沙耶『八咫烏の花嫁 王家をめぐる金色の髪』、真堂樹『帝都妖怪ロマンチカ 犬神が甘噛み(仮)』と多数登場。その中でも高橋由太『贄の白無垢 あやかしが慕う、陰陽師家の乙女の幸せ』は、宝島社文庫でオサキ持ちが登場と、ある意味原点回帰なだけに気になります。

 その他シリーズものの新刊では、上田秀人『惣目付臨検仕る 5 外患(仮)』、夏原エヰジ『Cocoon 京都・不死篇 5 巡』が、文庫化・復刊では輪渡颯介『攫い鬼 怪談飯屋古狸』が刊行されます。
 そしてもう一つ注目は古泉迦十の中世イスラムミステリ『火蛾』。電子書籍でも刊行されていますが、ノベルス版から実に23年を経ての文庫化は、話題性十分でしょう。


 一方、漫画の方はかなり数が少ないのですが、その中で気を吐くのが、それぞれ別々の出版社から同日発売される重野なおきの歴史四コマ『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』第1巻、『雑兵めし物語』第2巻、『信長の忍び』第20巻の三冊。3月の二冊同時刊行に続いて絶好調であります。

 そのほか、シリーズものの新刊はさいとうちほ『輝夜伝』第12巻、岡田屋鉄蔵『MUJIN 無尽』第11巻、貘九三口造『ABURA』第2巻、東直輝『警視庁草紙 風太郎明治劇場』第10巻、相田裕『勇気あるものより散れ』第4巻と、幕末・明治ものが多め。
 そして個人的に非常に嬉しいのは技来静也『拳奴死闘伝セスタス』第11巻。2年ぶりでも刊行間隔が結構短いな、と思ってしまうのは錯覚ですが……



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2023.03.12

4月の時代伝奇アイテム発売スケジュール

 来月発売予定の文庫小説と漫画新刊の中の時代伝奇もの(とその周辺作品)の紹介、4月の時代伝奇アイテム発売スケジュールであります。

 4月の文庫小説は少々少な目なのが残念ですが、しかしもちろん気になる新刊がいくつかあります。
 まず完全新作では翁まひろ『菊乃、黄泉より参る! よみがえり少女と天下の降魔師』がありますが、もう一つ気になるのは森岡浩之が大坂の陣を描く『夢のまた夢 若武者の誕生』。
 また、シリーズものの新刊では、五十嵐佳子『女房は式神遣い!』第3巻、上田秀人『武商繚乱記 2 悪貨』があります。

 一方、文庫化・復刊の方では、天野純希『乱都』と木下昌輝『まむし三代記』に注目。そのほか風野真知雄『江戸城仰天 大奥同心・村雨広の純心』新装版、あさのあつこ『星に祈る おいち不思議がたり(仮)』があります。また夢枕獏『大江戸火龍改』は、あとがきがそのままなのかも気になるところであります。


 さて、漫画の方は、小説の漫画化作品が三つほど登場。今村翔吾原作の『イクサガミ』(原作の続きは……)、霜月りつ原作の『神様の用心棒』、神楽坂淳原作の『妖怪犯科帳 嫁は猫又』と、いずれも第1巻が刊行されます。

 一方、シリーズものの新刊もかなりの豊作です。今回も舞台となる時代順に並べると――
鶴淵けんじ『峠鬼』第6巻、松井優征『逃げ上手の若君』第10巻、ゆうきまさみ『新九郎、奔る!』第13巻、士貴智志『どろろと百鬼丸伝』第8巻、かどたひろし『勘定吟味役異聞』第13巻、安達智『あおのたつき』第9巻、安田剛士『青のミブロ』第8巻、細川忠孝『ツワモノガタリ』第6巻、
陶延リュウ『無限の住人 幕末ノ章』第8巻ときて、絶好調の東直輝『警視庁草紙 風太郎明治劇場』第9巻、椎名高志『異伝・絵本草子 半妖の夜叉姫』第4巻と同時刊行の高橋留美子『MAO』第16巻まであります。

 そのほか、海外を舞台とした作品では張六郎『千年狐 干宝「捜神記」より』第9巻があります。


 4月も退屈している暇は全くなさそうで、何よりです。


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2023.02.26

年表サイト「妖異の世界史」を更新しました

 古今東西の史実の出来事と、フィクションで描かれた出来事、歴史上の人物の生没年を集めた年表サイト「妖異の世界史」を更新しました。今回は作品の追加のほか、作品名から年表に飛ぶことができる索引ページを作成しています。

 最近は本を読んでいても作中年代が気になって仕方ないという末期症状ですが、明確になっていなくとも、作中の描写から少しずつ年代を手繰っていくのも楽しいものです。なお、現時点で掲載作品数は千百数十となっています。

 今回の追加作品は以下の通りです。(年代順)
『卑弥呼とよばれた少女』、『火の鳥 黎明編』、『大唐泥犁獄』、『火の鳥 鳳凰編』、『楊家将演義』、『桃花源奇譚』、『夢見の猫 風の犬宮』、『コカチン 草原の姫、海原をゆく』、『修道士ファルコ』、『オトラント城奇譚』、『太陽の子エステバン』、『アサシンクリード クロニクル チャイナ』、『影武者』、『銀河忍法帖』、『忍法封印いま破る』、『黒いチューリップ』、『忍法双頭の鷲』、『乾いて候』、『お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷』、『スカラムーシュ』、『ラインの虜囚』、『モルグ街の殺人』、『マリー・ロジェの謎』、『盗まれた手紙』、『アサシンクリード クロニクル インド』、『秘戯書争奪』、『お庭番地球を回る』、『気球に乗って五週間』、『いちげき』、『龍神村木偶茶屋』、『ソロモン王の洞窟』、『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』、『幻燈辻馬車』、『二人の女王』、『白髪鬼』、『幽霊塔』(黒岩涙香版)、『悪魔の発明』、『黄色い下宿人』、『坊ちゃんの時代』、『ワイルドバンチ』、『幽霊塔』(江戸川乱歩版)、『アサシンクリード クロニクル ロシア』、『絞首商會』

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