2007.04.07

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十六話「海の向こうへ」

 いつものOPなしでグッといつもと違う感も高まる「幕末機関説 いろはにほへと」最終回。冒頭から全力疾走体勢ですが、恩田作監だけあってクオリティが高い! 高すぎて今まで見ていたのは何だったのか、と複雑な気持ちになりますが、最終回にふさわしい素晴らしいクオリティでありました。

 浮上を開始した五稜郭に大ジャンプ(飛びすぎ)、突入した耀次郎を待ち受けるのは、首に操られた兵士たち…多い、ちょっと多すぎるよ! と言いたくなるくらいの兵士の群に真っ向から突入。まさに幕末無双状態でバッサバッサと斬り倒し、あっさり一面クリアして次のステージへ。

 が、次のステージで待つのは偽ジャンヌと化した赫乃丈…いかに月涙刀を持ち覇者の首に操られているとはいえ、所詮は素人、しかも月涙刀は小太刀。一刀の下に斬り倒しますよ! と師匠に宣言した耀次郎の敵とは思えず、戦いの焦点は本当に耀次郎が殺っちゃうか、ですが――
 予想通り座長を圧倒する耀次郎ですが、耀次郎、刀で座長のジャンヌ衣装を脱がしてる!? なにこのエロ剣術(実際この時の座長の体の曲線が妙に艶めかしい)と最初は思いましたが、これは演じる役の虚構を剥ぎ落とし、赫乃丈を元の姿に戻すということなのでしょう。
 そしてついに剥ぐものもなくなった時、その後の一撃はどうするのか、と今度こそハラハラしていたら…月涙刀の柄頭で鳩尾一撃! 剣術的にも理に叶った攻撃で、座長を無力化。実に見事な勝利です(しかし左京之介にもこれやってやれよう(´Д⊂)。
 それでもなお座長の体を操って耀次郎をズブリ、とやろうとする小太刀ですが、避けようともせず刀を掴んだ耀次郎(のよくわからないパワー)と、小太刀を止めんとする座長の、二人の心が勝利したか、小太刀も鎮まり遂に月涙刀大小が耀次郎の腰に! これは素直に格好良い。

 一方、榎本を捨てた覇者の首をその身に憑かせたのは蒼鉄先生。それならば最初からやればいいのに、と思わないでもないですが、本人は大願成就まで裏に徹する(というよりこんなキモいものは他人に憑かせとけという)気だったか、はたまたパーフェクトモードの耀次郎を待っていたか…いずれにせよこちらも体勢は万全(?)です。

 そして対峙する色男二人…耀次郎はもちろん月涙刀、蒼鉄先生は長巻チックに変形させた太刀を手に演じる剣戟は、まさに本作の集大成と言うべき華麗凄絶なもの。耀次郎も、そしてこれまでかすり傷一つ負わなかった(たぶん)先生も、互いに手傷を負いながらの死闘は、時間こそさほど長くはありませんが、実に見応えがありました。
 そんな中でも謎のスイッチを押してステージを変化させる先生は素敵すぎます。

 そんな戦いも遂に終わり、苦しい息の下で己の真意を語る先生。覇者の首を用いて造った国にどれほどの意味があるのか。かつて坂本竜馬に首を拒絶された先生は、竜馬の意志を継いだ耀次郎をもって、己が行動の正しさを測ろうとしていたと――迷惑だな、先生。いや先生のすることなので許します。

 そして時は流れ…赫乃丈は仲間とともに一座を続け(そういえば彼らは何のために蝦夷地くんだりまで来たのか…)、不知火小僧は相変わらず琴波太夫を追っかけて――って、耀次郎並みの不死身キャラだな太夫――それぞれに平和な暮らしに戻った中、耀次郎は海外逃亡、じゃなかった竜馬が見てきたものを自分も見るために一人海の向こうへ…
 うむ、実にきれいな幕切れですが、この時の耀次郎の背広姿が尋常ではない似合わなさで最後の最後に爆笑してしまってごめんなさい。


 さて、全話完結して振り返ってみれば、幕末から明治初頭の時代と人物を克明に描いてきた本作、箱館戦争の件などは、伝奇抜きの時代劇としてもなかなかよくできていたかと思います。
 また、本作のウリの一つであった牧秀彦先生による殺陣についても、回によって差が大きかった演出と作画のクオリティに左右されたところが大きかったものの、十分に楽しませていただきました。

 が、残念なところも色々あったのは事実。上記のクオリティのバラけかたもそうですが、やはり耀次郎のキャラが薄かったなあ、というのが、悪い意味で印象に残りました。発展途上の人物というには迷いが少なく、完成された人物というには魅力がいささか乏しい、そんなキャラクターであったため、特に中盤は歴史の巨大なうねりの中に埋没しがちで、ひいては本作のドラマとしての盛り上がりを欠けさせる結果にもつながったかと――彼一人の責任にするのは厳しすぎますが――感じました。終盤も、なんだか突然にパワーアップした感がありますしね(それだけ迷いがなくなった、ということなのでしょうが絵的にわかりづらかった)。

 と、厳しいことばかり書いてしまいましたが、この半年間、毎週楽しみに見ることができたのは事実。様々な悲劇はありましたが、結末は、青空をバックに「愛の剣」が流れた最終回EDのように、爽やかで後味のよいものであったかと思います。まずは、スタッフとキャストの皆様に感謝感謝です。


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2007.04.05

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十五話「五稜郭浮上す」

 いよいよラスト一話前の「幕末機関説 いろはにほへと」。箱館戦争の陰で――という言葉がそぐわぬほど巨大なものとなりつつありますが――繰り広げられるもう一つの戦いもクライマックス、様々な因縁の糸が、あるものは切れ、またあるものは更に絡まって、最後の舞台に集約されていきます。

 そしていきなり繰り広げられるのは、耀次郎と左京之介の因縁の、そして最後の対決。
 いきなり正直なことを言ってしまうと、バトルの内容としては、屋内での刀と銃のプチマラソンバトルを描いてみせた第八話の薩摩屋敷での決闘には及ばなかった感のある今回の対決。至近距離からの縦断をことごとく刀でブロックしてみせる耀次郎の超人ぶりもさることながら、あれだけ撃っても当たらず、ラストのジョン・ウーチックな体勢からも大して(おそらく)傷を負わせられない左京之介のナニっぷりが、もう何と言ったら…
 が、左京之介の生き様という観点からすれば、何とも考えさせられるものがありました。死闘の最中、トレードマークの眼帯を斬り飛ばされ、顔の傷を露わにした左京之介。彼のコンプレックスの象徴であるその傷を隠そうともせず、「今オレは自由だ!」と叫び、笑みを浮かべつつ戦いを続ける彼は、しかしその言葉とは裏腹に、過去の軛から逃れることはできなかったと言えます。
 彼の心に最後の最後まであったのは、自分を捨てた母ととよく似た面差しの赫乃丈の――それも覇者の首の傀儡と化した赫乃丈の――姿のみ。確かに、他者から蔑みの視線でもって使役される存在であるよりかは自由であるかもしれませんが、それはむしろ己の過去に逃避し、依存したものであります。
 確かに左京之介は安らぎの中で退場できたのかも知れませんが、一体彼は何のために生きてきたのかと、考えさせられてしまいました。

 もう一人退場したのは琴波太夫(正確にはブリュネさんもですが、こちらはたぶんに史実との整合性のためだからいいや)。こちらも最後の最後まで蒼鉄への想いを抱き、その中で死んでいったこととなりますが、本人は満足できても、不知火のように、遺された人間にとっては全くの犬死にであり、見ているこちらの心にも何ともやりきれないものが残ります。
 己が宿命に文字通り殉じた太夫、そして左京之介。…宿命って何なんでしょうね。

 そしてその己が宿命に殉じようとしている人間がもう一人。幼い頃からの宿縁に結ばれた、赫乃丈を斬ってでも覇者の首を封印する覚悟を決めた我らが耀次郎ですが、果たしてその心構えで、覇者の首に打ち勝つことができるのか。
 この物語で唯一、覇者の首の力に負けなかった人物が、何にもとらわれない、こだわらない心を持っていたことを、耀次郎は思い出すべきではないでしょうか。

 さて、その耀次郎を赫乃丈、そして榎本と共に待ち受けるのは蒼鉄先生。これまで全く正体不明であった先生の過去につながる描写が、ようやく描かれました。
 蒼鉄を「和子」と呼ぶ、奇怪な公卿姿の男。桐紋を擁し、五百年の歳月を経て、歴史の表舞台に返り咲こうとする彼らは――って、ネタかぶってませんか!?

 それはさておき、その一族の五百年間にわたる怨念や期待を一身に背負ってきたのが蒼鉄先生ということなのでしょう。それが、蒼鉄先生の宿命――また宿命です。

 その蒼鉄先生たちが行う奇怪な儀式により力を得た五稜郭は、天変地異すら引き起こしてついに浮上、覇者の首の力を日本に、世界に広げんとしますが、さて、蒼鉄先生の真意は奈辺にあることでしょうか。
 次回予告で思いっきりバレているような気がしますが、先生は、己が宿命を疎み、それから逃れようとしているようにも思えます。しかしそれが己の力ではなし得ないからこそ、誰かの力を必要としているのではないか――そしてその誰かこそは、先に述べた覇者の首の力に囚われなかった自由な精神を持つ男の、その想いを受け継いだ者ではないかと思うのですが、さて。

 微妙に最終回の後に書くべきことを書いてしまったように思いますが、果たしてこちらの予想通りとなるか、はたまた全く予想外の結末となるか――いずれにせよ、最終回が楽しみでなりません。


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2007.03.26

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十四話「色は匂へど」

 いよいよラスト三話の「いろはにほへと」、今回は覇者の首の力で狂気の度合いを深める蝦夷共和国の姿と、土方の最後の戦いが描かれます。
 榎本と、完全に己の意志というものを無くしたかに見えるコスプレ姿の座長に扇動されて、正気を失っていく共和国の人々。もちろんこれは極端な姿ですが、マスヒステリーの恐ろしさ、醜さは現代でも容易に見ることができるだけに、生々しい恐怖感がありました(こうして見ると今の首相には覇者の首は憑いてなさそうだなー)。
 そしてそれが、大商人襲撃につながり、第二の赫乃丈を生み出すこととなってしまう皮肉がまた…

 一方、土方は実質今回の主役といって良いほどの活躍ぶり。前回再会した耀次郎を匿って一緒に鍋をつついたり(なんかおかしかったです、あのシーン。絶対土方は鍋奉行だと思う)するのはいいとして、覇者の首との対決の役目を耀次郎から譲って(?)もらって榎本と対決までしてしまいます。残念ながらというかやっぱりというか、全く叶わずに退くこととなってしまいますが…
 そして運命はもはや変えられぬと知った土方は、鉄之助に自らの形見となるであろう写真と、勝への書状を持たせて一人落ち延びさせますが、そのシーンの優しい眼差しがもう…この辺りは史実ですし、そしてこの後どうなるかを知っているだけに何とも切ない場面ではあります。

 そして運命の五月十一日。新政府軍へ突撃を仕掛けた土方は、激しい銃撃の中、敵を全て斬って倒して――あれ、何だか普通に生きてますよ? と思いきや、そこに現れたのは左京之介…こうきたか!
 既に完全に飼い犬と化した左京之介は、蒼鉄先生の命令で目障りとなった土方を始末しに来たと――いくら蒼鉄先生でもやっていいことと悪いことがある! と、ここで憤ってみても仕方ないのですが、とにかく蒼鉄先生腹黒すぎます。
 もちろん(?)、これが今までの左京之介であれば、土方に返り討ちにされておしまいだったと思うのですが、覇者の首の力が伝染した左京之介の前に歴史は変わらず…土方散る。満ち足りた表情であったのが、せめてもの救いでしょうか。近藤さんよりも総司の名を先に呼んだのが不思議ですが。

 と、そんなリアル系時代劇をやっている一方で、榎本と座長は変なパワーを発揮、見る見る間に五稜郭から異様な柱が立ち上がり、見る見る間に五角形の塔とも言うべき姿になるというスーパー系の展開。何だか超長距離砲っぽいものまで出てきたりして、この辺のカラクリセンスは天外魔境っぽいなあ。しかしインパクトはあるけれども、これ一つで世界征服できるとは思えず、まだまだ秘密がありそうです。

 そして次回、ようやく出番の回ってきた耀次郎と、左京之介の決着の刻――手加減できなさそうな主人公だけにあまり多くを望みませんが、せめて左京之介の魂が救われることを祈っています。


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2007.03.17

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十三話「函館はあかく」

 度重なる任務失敗を詰られ、身分を剥奪された左京之介とチェス部隊は、最後の意地で榎本暗殺を決意し、五稜郭に潜入する。五稜郭最深部で榎本らを襲撃する左京之介らだが、土方と蒼鉄に次々と倒され、残る左京之介とクイーンは、ただ二人榎本に挑む。が、覇者の首の魔性の力に翻弄され、クイーンは恐怖に駆られて逃亡、それを首に操られるように左京之介は射殺してしまう。そして全てに絶望して自決せんとした左京之介の前に赫乃丈が現れ、それを優しく止める。一方、榎本に憑いた魔性を目の当たりにした土方は、耀次郎の行動に理解を示して…

 久々に神無左京之介が登場した――いや主役だった今回、しかし、左京之介ファンの黄色い悲鳴が色々な意味で聞こえてきそうなシーンの連続でした。
 冒頭、パークスにネチタラ嫌味を言われながら、用済みとばかりに身分剥奪され(一人一人の階級証を手ずからひっぺがしていくのが実に嫌らしい)、心にぽっかりと穴の開いてしまったチーム神無。チームの紅一点、メガネ巨乳セーラー服のクイーンなどは、たった二人で生きてきた兄が既に任務で死んでおり、虚しさはクライマックス。そんな寂しい彼女の前に現れた左京之介は、寂しいのはキミだけじゃないんだぜ、俺なんてサ…とばかりに陰のある男(実はマザコン)ぶりをアッピール。さらに「もしかしたら、俺は泣いているんじゃないのか…?」などと言いつつ目の前で無防備に大の字になったりして――お前寂しい女性の前でその行動は誘ってるだろ!? と言いたくなるような(耀次郎には間違えてもできないような)言動の連発で彼女のハートをキャッチ、そのまま二つの影は重なりあって…次の朝、シャツの胸元全開の左京之介と素足にセーラー服の上だけ着たクイーンの姿が何とも艶っぽい。

 そして潜入した先は、世界征服を企む榎本と蒼鉄先生の秘密基地(本当)。一体何の意味が!? と言いたくなるようなギミック満載の五稜郭最深部にいつの間にか潜入していたチーム神無は、まずは長剣の達人・ナイトが土方と対決。短いですが見応えのある剣戟の果てに破れ、満足げに倒れていったナイト…ある意味、彼が一番恵まれていたかもしれません。
 二番手・手榴弾使いのビショップは、ノリノリの蒼鉄先生を敵に回すという不運すぎるシチュエーション。ドSっぷりを発揮した蒼鉄先生に案の定散々翻弄された挙げ句、五稜郭の珍妙な仕掛けに引っかかって惨殺される有様。
 そして残るクイーンと左京之介の飛び道具カップルは、これまた相性最悪の榎本が相手。ある時はバリアーで、ある時は瞬間移動で悉く攻撃を無効化された二人は、初めて敵に回す人外の相手にガクブル状態、文字通り弓折れ矢尽きたクイーンは、恐慌を来して一人逃げだそうとしますが――榎本の魔性の囁きに狂わされ、自分の中に隠れていた母への憎悪を引き出された左京之介は、自分を残して逃げようとするクイーンに母の姿を重ね、銃を向けて引き金を――
 この番組一かもしれない悲痛なシーンの後、我に返って呆然とする左京之介の前に現れたのは、座長改め似非ジャンヌ・ダルク。その彼女に懺悔して左京之介は己の銃をこめかみに…ちょっ、もう勘弁して! と悲鳴を上げたくなりましたが、そこで似非ジャンヌに止められ、かろうじて存命。しかし自分の母と同じ顔で、しかも優しい似非ジャンヌ様に左京之介はもうメロメロで足に接吻状態…彼に幸せはあるのか。救いの神は無いのか。

 ちなみにその頃主人公は、キン肉星王族の戦闘スタイル似の覆面姿で市中を徘徊していただけ。ようやく榎本の異常さに気付いた土方が理解を示してくれたおかげで、少しだけ巧妙が見えたかも知れませんが…次回予告は土方が独占。一人で別の番組みたいなテンションです。大丈夫か、本当に…
 その次回のサブタイトルは「色は匂へど」。「いろはにほへと」という、内容と無関係に見えるこの作品のタイトルの謎が解ける?


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2007.03.11

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十二話「北の邂逅」

 冒頭の如月影二のような覆面姿の耀次郎が愉快…などと暢気なことを思っていたら一気に物語が動き出した感のある今回。いかに吹っ切れたように見えても、いざ太刀の月涙刀を見ると暴走してしまう座長は、蒼鉄先生(やっぱりあんたか)に連れられてきた乱戦の中で早速暴走、耀次郎に斬りかかります。折角座長に対するイメージも良くなったのに…というか、座長とりあえず白月涙刀持ちなさんな。
 一方、こちらは吹っ切れたことで普段の鉄面皮ぶりを甦らせたか、ごく冷静に座長の攻撃(と二本の月涙刀の激突のデカすぎる衝撃波)に対処した耀次郎ですが、共和国軍と新政府軍の乱戦という、榎本暗殺には絶好の機会を逃してさっさと撤退。以後ほとんど出番なしなのが何というか。

 そして始まるのは、榎本による武士への、そして赫乃丈一座による民衆への一大アジテーション。国家とは何か? という点にまで踏み込んだ榎本と、それにシンクロしたと思しい座長の大演説を聴いていると、ああ本作も高橋良輔作品だなあという気がしないでもありません。
 それはさておき、このシーンを見ていると、耀次郎の相手にすべきものが、単なる榎本一個人、覇者の首という存在を超えて、国家という、巨大な、それでいて形の掴めぬ怪物になりつつあるのではないかという印象も受けます。そして蒼鉄先生が覇者の首を用いて真に生みたかったものは、この国家を産み出すムーブメント、一種の革命意識というものなのかな…とも。

 何はともあれ、耀次郎に赫乃丈一座、蒼鉄先生に榎本はもちろんのこと、ようやく榎本の異常さに気が付いた土方(遅い、遅いよ!)、最近すっかり忘れ去られつつもようやく登場した神無チーム(って、公式サイトの次回予告を見たら大変なことに…)、蒼鉄先生との関係も気になる琴波太夫に、あとおまけに座長に一方的にフラグを立ててるおぼこい鉄之助と、まさに五稜郭に役者は揃ったと言えます。
 気付いてみれば残るはあと四回。おそらくは五稜郭陥落と共に終幕となるであろうこの物語と登場人物たち(具体的には蒼鉄先生)の行く末を、最後まで心して見極めたいと思います。


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2007.03.08

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十一話「海峡渡る」

 最新鋭艦ストーンウォール号を手みやげに、蝦夷共和国に投降せんとする薩摩の黒田了介。その「甲鉄」には、箱館に渡るべく、聖天に依頼された西郷の口利きで耀次郎が乗船していた。ストーンウォール号受け取りのために宮古湾で黒田を出迎えた土方たち。が、全ては投降を偽装した黒田の罠であり、ガトリング砲の猛威の前に共和国側は次々と討たれていく。が、耀次郎は土方への射撃を妨害すると回天の土方に同行、耀次郎の重要さを語る西郷の言葉を思いだし黒田も彼を見逃すのだった。

 いわゆる宮古湾海戦の意外史ともいうべき今回。平均してみると作画面では正直あまり高いレベルではない本作ですが、その中でも今回はかなり低調な印象。特に今回主役格の活躍を見せた土方のキャラクターデザインが淡泊なだけに、作画が崩れるとたちどころに「誰!?」になってしまうという…
 元々作画アニメというわけでもありませんし、個人的には元々それほど気にする方ではないのですが、集中しての視聴を妨げるほどだったので文句を言ってみました。

 と、のっけからネガティブな話で恐縮ですが、そんな今回の物語をずいぶん救っていた感があるのは、黒田了介の豪快かつ生臭いキャラクター。酒乱の気があったという黒田らしく(?)登場シーンの半分くらい酒をくらっていたような印象がありますが、「この黒田了介を、蝦夷共和国は欲しくはないか!?」など、言動の端々に、豪傑的半面と策士的半面を持つ黒田のしたたかさが現れていて、なかなか魅力的なキャラクターに描かれていたかと思います。土方はさておき、またもとのだんまりに戻ってしまった耀次郎は完全に喰われていた感がありました(そもそも、箱館潜入の困難さが描かれていないため、耀次郎が黒田と同行する必然性が薄かったような…と、また文句言ってしまった)。

 ちなみに今回の蒼鉄先生、ほとんどただ一人、冷静に黒田の罠を見破っておきながら、それを指摘したら土方が「俺が行こう」と言い出したので、これも先生の策のうちかと思ってしまいましたよ。もう先生の一挙手一投足が油断ならなくて愉快です。しかも太夫を独り占め(?)
 その蒼鉄先生、次回予告ではまた穏やかならざることを言っていましたが…あっさり丸め込まれそうな座長が心配です。


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2007.03.03

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十話「波浪ありて」

 陸奥国岩磯村に流れ着き、漁師の妻子に世話を受ける耀次郎だが、赫乃丈に斬られた記憶に苦しむ。が、かつて家族を海で失いながらも、その海を理解し、海で暮らしていこうとする漁師の妻の姿に、己の姿を重ね、宿命の何たるかを知るべく再び立ち上がるのだった。一方、榎本軍は福山城を攻略、蝦夷共和国が樹立されるが、蒼鉄はなおも何事かを企む様子を見せる…

 座長復活編に続き、耀次郎復活編。が、前回に比べると色々な意味で地味なのが何とも耀次郎らしい展開です。
 微妙にガッツ系の東北弁も見事な未亡人(違 に拾われた耀次郎は、恵みと同時に死をももたらす海と暮らす彼女から、避けえぬものであれば自らそれを理解し、乗り越えようとする姿勢を学び、立ち上がることになります。
 「己が宿命を憎んだことなどない。嫌ったことも呪ったこともただの一度も。 当たり前のように目の前にあったこの刀のように」と語る耀次郎ですが、それは宿命を受け入れているように見えて、ある意味己の宿命を無視しているとも言える状態。宿命を共にするはずだった座長に斬られたことが、初めて彼にそれを自覚させたのでしょう。
 そしてそれを乗り越える、受け入れようと努めるきっかけになったのが、己と全く無縁の場所と世界に生きる女性の生きざまであったことは、意外なようでいて納得できるものがありました。本当に地味な展開ではあるのですが。

 また、その己の宿命への無自覚さが、これまで非常に気になってきた耀次郎のキャラの薄さに重なってくる様に感心しつつ、それ故のキャラの薄さだったのか、と気付かされたのですが、しかしこれは買いかぶりすぎかもしれません。
 結局、これまでの耀次郎のキャラの描き込み不足が響いて、今回は物語構成に面白さは感じましたが、物語展開にカタルシスは感じられなかった、というのが正直な感想です。

 また、今回のもう一方のクライマックスと言える福山城攻略は、前回とは雲泥の差の作画・動きでテンションも上がらず(スタッフを見たら三文字名前がずらりと…)。何故土方があれほど榎本を信じているかも今一つ説得力がなかったこともあって、こちらもカタルシスは感じられませんでした。
 まあ、濃霧の中からの超精密艦砲射撃で城門を直接ブチ壊す榎本の豪快すぎる攻撃は愉快でしたが…あと、キメキメで「幕は、まだまだ先の先。我が共和国は蝦夷にあらず」などと気を持たせてくれる蒼鉄先生が相変わらず素敵でした。

 さて、そんなこんなのうちに物語も終盤。気付いてみれば覇者の首が憑いたターゲットはあれよあれよという間に一国の総裁に。おそらくは最後の舞台となるであろう五稜郭を舞台に、いかなる物語が展開されることでありましょうか。
 そして次回、またも実在の大物・黒田了介(清隆)が登場…なるほど、ここで耀次郎は仙頭左馬之介と出会うのか<出会いません


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2007.02.22

「幕末機関説 いろはにほへと」 第十九話「赫逆の五芒星」

 遂に箱館上陸を果たした榎本艦隊。耀次郎を斬ってしまったことで心に深い傷を負った赫乃丈は、艦隊に伴われ箱館病院で療養することになる。蒼鉄の言葉に、己の宿命を受け入れる決意をした赫乃丈は己を取り戻し、土方を狙って病院に乱入してきた松前藩士遊軍隊に立ち向かう。その彼女の前に、箱館に到着した一座の仲間たちも集結。遊山赫乃丈一座の新たな舞台の幕が上がる――

 いやはや、今回は面白かった! と素直に言える回でした。なんと言っても恩田作監のお陰で画のクオリティが高く(特にちび二人のちょこまかした動きがまたえらく可愛くて…そりゃあ蒼鉄先生も打算抜きで微笑むってもんです)、安心してみることができました。クライマックスの赫乃丈の踊るが如きステップで振るう剣さばきも実に美しかったですね。

 今回は、赫乃丈復活篇とも言うべき内容。精神的に復活したというのもありますが、物語後半に入って以来、視聴者にとって下がりっぱなしだった(そして前回でドン底になったであろう)座長株もまた復活したのではないかと思います。
 復活のきっかけの一つが蒼鉄先生の言葉ってのがナニですが、病院に乱入してきた松前藩士に対し単身立ち上がり、迎え撃つシーンは、一座の仲間たちの芝居懸かった乱入もあって、実に爽快でカタルシスの感じられる名場面だったかと思います。

 ちなみに今回(も)猛烈に面白かったのは蒼鉄先生。絶望に暮れた座長が断崖絶壁の上に立って、ふっと横を見るとキメキメの位置で立っていた蒼鉄先生のタイミングの良さには爆笑しました。
 しかも「あの男は、秋月耀次郎は生きている」と自信満々に座長に請け合った直後に心の中で「そうであってくれねば困る…この私としてもな」と続ける無責任っぷりには、視聴者全員が、ちょっと待てとツッコミを入れたのではないかと思います。

 ちなみに箱館に入ったということもあって、今回新たに何人か実在の人物も登場しました。その一人、箱館病院の医師・高松凌雲は見るからに好人物の青年医師で実に好感が持てます。持てるのですが、病院に集結した赫乃丈一座を見て、「医者や病院の他にも病人の治療法はある。それを見越して茨木殿は・・さすがだ」と感心してしまう辺り、妙におかしい。
 もう一人、新選組ファンにとってはお待ちかねだったのは、市村鉄之助の登場。京では逆恨みホモに付け狙われていて心配しましたが、無事のようで安心しました(それは別の作品だ)。座長の世話を土方に命じられて不満タラタラになる一方で、座長の横顔にどぎまぎしたり、上記の断崖絶壁シーンの後に、座長が身投げすると勘違いして「生きてる方が戦いだ!」とか利いた風なことぬかして(ぬかしてません)飛びついたりと、おいしいシーンが多かったかと思います。

 そんなこんなで虚実ともども盛り上がった今回ですが、台詞一つもないまま一人完全に出遅れた耀次郎m9(^Д^)プギャー
 まあ、前回あれだけ深く刺された上にずいぶん長い間水に浸かっていたようで、それでも生きてた不死身っぷりはさすがに主人公ですが、レギュラーキャラの誰と出会うでもなく、一人海岸に漂着するところがまたらしいというか何というか…


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2007.02.10

「幕末機関説 いろはにほへと」 第十八話「宿命哀れなり」

 榎本を襲撃した左京之介らは、榎本の底知れぬ力の前に撤退。土方はその榎本の軍に加わる決心をし、続々と榎本艦隊に旧幕府軍が集結する。そこを再び襲撃する左京之介たちだが、覇者の首の力に憑かれたような兵たちの反撃に再度撤退、その混乱の中で耀次郎と赫乃丈は榎本に近づくが、赫乃丈の月涙刀が貫いたのは、耀次郎の体だった。

○ようやく榎本が姿を現した艦上を襲うチェス部隊…でも蒼鉄先生にはただのネズミ呼ばわり。にしても前回艦砲射撃をやったのは本当に祝砲だったのでしょうか。

○榎本の目前まで迫るも、ナイフ使いのルークは一睨みで硬直。一刀両断されかかった時に彼の命を救ったのは左京之介の銃弾でした。おお、すごく隊長っぽいよ! が、その後左京之介も榎本の眼力の前に引き金を引けず…

○そして土方は榎本の元へ。「将たる者の腹の底がわからなければ兵は命を賭けられない」、と言いますが、そりゃあ、あなたのところの大将はわかりやすい人だったでしょう。

○「お話があります」と言い出すので何か新事実があるのかと思ったら、また「秋月様の宿命は私の宿命でもあるのです」としか言わない座長。耀次郎はそんな座長と一刀を合わせてOKを出します。何だかよくわからないですが、納得されたようです。

○またどこかで特訓している左京之介とチェス部隊。ルークは榎本に怯えた自分が許せないようですが…さりげに死亡フラグだそれは。そして「God save the Queen」を合い言葉に戦闘へ。…微妙な発音だが気にしない

○各地から榎本艦隊に合流する兵の中に混じって潜入しようとする耀次郎たち。みんな普通にちょんまげ結ってる中で、一人いつもの髪型で混じってる耀次郎に吹きました。何か策でもあるのかと思ったら、速攻で土方に見つかってるのでまた吹いた。

○と、まさにその時突っ込んでくる左京之介の艦。が、榎本はまったく慌てず騒がず、応戦を命じます。そして乱戦になりますが…この辺りの戦闘描写は相変わらずいまいちなんだなあ。榎本に一直線に突っ込むルークですが、ナイフは尽くかわされ、兵士たちから滅多刺しに。ああ、やっぱり。しかし、恵比須とルーク、同じ声とは気付きませんでした。どちらも短命ね。

○その隙に耀次郎と座長が榎本に肉薄。何度か目の「覇者の首、封印!」の言葉と共に突っ込む耀次郎ですが、その背に刺さったのは座長の月涙刀。座長の目は覇者の首と同じ赤い光に…

○ここで何か古文書を読んでいる聖天様。どうやら関係のアイテムには、「覇者の首封印のための陰之大太刀」「首納めしカイチ紋徐福之壷」「その封印を破らせんがための陽之小太刀」があるようですが、しかし陽之小太刀が覇者の首を前にする時に…って先生、そういう大事なことは早く言って下さい!

○さすがの蒼鉄先生もこの事態は予想していなかったようですが、よろめく耀次郎の傍らにわざわざやって来て「哀れなり永遠の刺客」と囁いてしまうドSっぷりがたまりません。 そして耀次郎は海中へ…

○榎本は勝ち鬨を上げると、蝦夷へ進路を取るよう、艦隊に命じます。土方もそんな榎本に将の器を見ていよいよ舞台は蝦夷地へ…そして座長の絶叫で〆。


 前回の予告時から何となく予想していましたが、やっぱり座長に刺された耀次郎。足手まといという言葉では済まないほどのマイナス要因っぷりですが、時代劇のヒロインはそうじゃなくちゃな!<無茶言うな
 あ、重傷を負って水中に落ちたりして画面からフェードアウトするのも時代劇の主人公のお勤めなので耀次郎も心配していません。むしろ今まで無傷過ぎたんだ彼は。
 問題は誰が彼を救うかですが…太夫あたり?

 それにしても座長を凶行に走らせた白い月涙刀について、「その封印を破らせんがための陽之小太刀」という台詞がありましたが、つまりは覇者の首の封印を破らせないための刀という意味なのでしょう(最初「破らせるため」かと思った俺アホス)。だからこの小太刀は覇者の首が封印されていた東照宮にあったと。しかしそれが封印の解かれた覇者の首の間近にあるときは、逆に覇者の首を守る方向に向かうようで…ん、それ以前にこの小太刀があっても封印が解かれていたような。

 それはさておき次回予告では、しばらく出番のなかった一座の面子が勢ぞろい。座長、芝居してる場合じゃないよ! まあ、座長の心には一番の薬だと思いますが…恩田作監で絵の方は期待できそうかな。


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2007.02.03

「幕末機関説 いろはにほへと」 第十七話「議無用なり」

 耀次郎と別れて仙台に入った土方は、弱腰の諸藩の態度に業を煮やすが、その場に榎本の名代として参加していた蒼鉄の笑みが印象に残るのだった。一方、耀次郎は赫乃丈を巻き込まないために行動を別にしようとするが、赫乃丈は自分も耀次郎と同じ宿命があると一手指南を求める。その頃、土方の来訪を受けた蒼鉄は、土方が新たに仕えるべき主君、新たに戦うべき戦場を提示する…

○島田ごついよ島田。耀次郎や土方と同じ世界の住人とは思えません。土方はあっさりと耀次郎と別れて島田たちの方へ行ってしまうのが残念。

○荒事の似合う歌舞伎者を欲しいという榎本の言葉(蒼鉄談)に従い、土方たちを乗せようとする蒼鉄。榎本は引きこもりとのことですが、蒼鉄に「君の書いた台本を写しているのではあるまいな?」って鋭い言葉を投げかけたブリュネに対する蒼鉄先生の顔が悪すぎて愉快です。

○食道楽つながりの師匠の口利きでお寺に厄介になる耀次郎。と思いきや和尚は「しょくはしょくでも色の方じゃがの」と。耀次郎逃げて逃げてー(そっちか)と思っていたら、突然機嫌を悪くしたような顔で耀次郎はどこかに行ってしまいます。カップル扱いに腹を立てた?

○青葉城の軍議にいつの間にか加わっている蒼鉄先生。弱気過ぎる東北人たちに業を煮やして立ち上がる土方が脇を通った時に「さすがは土方様…」と呟いて土方の注意を引く蒼鉄先生がいやらしすぎます。それにしてもこのシーンの恭順派の重臣たち、妙にカリカチュアしてあって東北出身者としては見ていてあまり気分良くないシーンです

○一方、何だか久々感のあるチーム神無(と、公式サイトに書いてあった)。チェス部隊は榎本艦を自分たちだけで落としてみせると豪語していますが、それって失敗フラグだと思います

○やたら気の利く和尚さんに食べ物を持たされて耀次郎を追う座長ですが、耀次郎はものっそ不機嫌そうなツラ。「巻き込みたくない」「道が違う」「思いこみ」「帰ってくれ」とたたみ掛けるように座長に言い放ちますが、単に拗ねているようにしか見えないのは耀次郎の人徳。一方、説得が効かぬと見るや手鞠唄を歌い出す座長ですが、こちらも効果なし。端から見ていたら面白いカップルだな…

○一方、城から帰って稽古に汗を流しながらも蒼鉄先生のことが頭から離れない土方。そりゃあ蒼鉄先生は魔性の男だからな。思わせぶりな態度で人の気を引くことでは天下一品です。

○血相変えて刀を掴んで飛び出す座長に慌てる和尚。それはさすがに勘違いでしょう…と思ったら、一手御指南をと言いつつ耀次郎に白刃を向けたのでこっちも驚きました。一方、ついに蒼鉄のところにやってきた土方。主君のために死ぬと言い切る土方に、蒼鉄先生は「徳川は滅びますよ」と断言して土方を激昂させますが…。この辺り、二組のカップル(違 の対峙を交互に描く演出がちょっと面白いですね。

○土方の一撃をかわして文字通り懐に飛び込んだ蒼鉄先生は、なおも徳川は滅ぶと繰り返し、土方の心を揺さぶります。一方、滅茶苦茶に突っ込んできた座長をかわしたら勢い余って崖から落ちかかったので抱き留める耀次郎。この辺りの対比が蒼鉄と耀次郎の人物の違いを表しているようで愉快です。

○チェス部隊の攻撃が続く中、いきなり艦砲をブッ放す榎本。煙の中に傲然と立つ姿は、貫目が違います。

○白月涙刀を持ったストーカーに弱っていますという耀次郎の手紙に「まずいぞ…」と呟く聖天様。やはりOP映像のように、二人が対峙することになるのでしょうか。

○榎本が撃った大砲を、土方を迎えるための祝砲と言い、さらに榎本艦隊への参加者リストを見せた上に、「あなたには直にご署名を」と筆を差し出す蒼鉄先生の口説きテクニックにはもうなんと言ってよいのやら…このシーンの蒼鉄先生は、大げさに言えば、ファウスト博士を誘うメフィストフェレスのようでありました。


 さて、もう今回はひたすら蒼鉄先生のたらしっぷりが全てと言ってよいように思いました。思わせぶりな態度で引き寄せて、いきなり相手の信じていたものを完全否定した上で、動揺したところにその代わりとなるものをちらつかせて誘うというのは、実際に宗教の勧誘等であるテクニックですが、天下の土方相手にそれをしれっとした顔でやってしまうのが恐ろしい。覇者の首なんぞよりもよっぽどこちらを封印する必要があると思います。
 それに比べて、おぼこい座長一人の扱いに困ってわたわたする耀次郎ときたら…らしいと言えばらしいのですが、人間の格が違いすぎて可哀想にすらなってきます(まあ、部下からハブられて出番なくなるヤツの方がもっと可哀想ですが)。
 そして次回、何だかよくわかりませんが耀次郎はひどい目に遭うようですが…白月涙刀に斬られた?


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